chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

飲食店と造花教室とIT

 
夕食を外食で済ませた。その時、入り口に大きな造花のセットが飾ってあり、遠目に見るとどうということはない地味なセットなんだが、何気に近くで見ると、すごく手の混んだ大作であることに気がついた。それで、すぐ横にその造花教室の小さなチラシがが添えられているのを見つけた。たぶん昼間に時間のある主婦とかがやっているような造花教室の、先生がお手本として作ったものだろう。
 
一見どうということもない地味な造花に、そこまで惜しみない手間隙をかけられるというのは、逆に造花生産だけを本業とするプロには無理だろう。そういうものが作品展みたいな所じゃなくて普通の飲食店で見られるというのは、あぁ、何だかんだ言っても、こうやってちょっとづつ、世の中が豊かになってきてるんだよね、と実感できる瞬間である。
 
それで、おそらく日本人的な感覚としては、この造花の持ち主は、造花を無償で店に提供する代わりに、教室のチラシも無償で置かせてもらうという取引きなんだろうと想像する。無償なんだよね。無償なんだきっと。そこってかなり、象徴的な話かもしれない。
 
日本にはチップというような習慣がないから、そういうちょっとした事にサービス料を払うという発想がないし、そういうことを考えもしない。これが良いのか悪いのか。ちょっと前にはてな村で話題になっていた、「日本のWebは残念」だとか「○○○は残念」だとか、じゃぁそういうものが残念じゃない国に何があるかといえば、多くの場合チップの文化があり、ちょっとしたサービス料というのをきめ細やかに支出する「心がけ」がある。文字通り「心がけ」だなぁ。そういう所でインターネット上で何かサービスを始めれば、小金を稼ぐのは日本より簡単そうな気がするが、違うのだろうか。
・・・かたやそれが無い日本、という所に、残念な/残念でない、Web、という話題に、なにかリンクするものを感じた。
 
この造花の話でいえば、たとえばこれがインターネット上の、たとえばメールのやりとりだけで、こういう取引きが成立したかというと、それはたぶん無理だっただろう。造花教室の先生の方がお店に出向いて行って頭を下げてお願いしたか、もしくはそれ以前に知人のつてか何かで繋がりがあったのだろう。・・・ITが進歩したとはいえ、今どき造花教室のホームページを作ったりブログを書いたりした所で見にきてくれる人なんてたかが知れている。こういう場面においてはいまどきの日本のITはほとんど何の効力も持たないという現実もあるわけである。そこを謙虚に受け止めなくてはならない。