chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

捨てる本を束ねながら考えたこと

 
今日捨てたのは主に雑誌。10年以上前のもの。トラ技、Interface、その他技術系の雑誌。
 
まず、ソフト関係の雑誌は10年も経ったら、ぜんぜん置いとく価値無し。インターネットで色々調べられるからというのもあるし、インターネットでもなかなか見つけられないようなコアな情報が雑誌に乗っている訳もないので、どっちにしても置いておく意味がない。でも、なんか、儚いなぁ。ソフトウエアに関する雑誌の立ち位置って、めっちゃ微妙だよな。1ヶ月遅れの情報を紙媒体にのせて、それで数年経ったら全部紙ゴミ。せめてデータだったら、大容量化の進むHDDの片隅にでも安住の地を得られたかもしれないのに。
 
ハードウエア関係の雑誌は、自分がハード屋だからというのもあるが、何冊かは選別して残すことになった。改めて感慨深いのは、10年経って全く陳腐化してしまって役に立たない情報と、10年経っても普通に役に立つ情報とがあるということだ。
半導体に関する情報がメインの本は、かなり処分した。10年前の半導体の詳細情報なんて、もう全然役に立たないし、この先役に立つこともないだろう。それ以外の電子部品の進歩というのは亀の歩みで、とにかく種類が多いので、広く浅く知っておくのに雑誌は役に立つ。今でも現役の部品がかなりあるので、一応置いておくか、となる。10年前のデバイスは、今ではもう手に入らないものもあるけれど、トラ技などで取り上げられたものはその後定番デバイスとなって現在では驚くような低価格で安定供給されていたりするものもあるので。新しいデバイスが出てきた場合にも、昔からある定番部品に対して、何が優れているのか、コストを払う価値があるのかを判断するには、かなり広範囲の知識が必要。オーバースペックなので昔からの定番部品でいいや、となることも多い。
 
10年以上前の知識がほとんど役に立たない分野というのは、10年以上前にどれだけ成功していたか、ということが何の自慢にもならない分野でもある。NECのパソコンなんかがまさにそう。かつてのNECパソコンの勢いなんて、いまや見る影もない。マジで手元にも会社にも1台も無いぜNECのパソコン。
なんでそんなことになっちゃったかというと、NECインテルと勝負できるようなCPUメーカーにもなれなかったし、周辺チップのメーカーとしてさえ生き残れなかったということ。バブル期にへんちくりんな自社ビル建ててる場合じゃ無かったんだよね。その他の国内メーカーも同じ。で、チップセットを海外に牛耳られてしまったら、あとはそのチップセットの想定した回路図通りに実装して組み立てれば誰でもパソコンが作れる訳で、台湾や中国の低価格に対して日本メーカーは為す術がなく、ニッチな分野に追いやられてしまってこのザマですよ。今や日本のブランド名が付いてたって中身が中国製なんてざらだもんね。
 
どう考えても、この先日本の製造業はますます厳しい状況になるはずだ。今なんとか保っていけてるのは、上にあげた「10年以上前に開発されて現在でも現役で売れている部品」に負うところが大きい。10年以上前に開発が終わっていて投資も回収できていて機械を動かすだけで部品が作れるから、国際競争力のある価格で中国に部品を供給できる。
追いつかれないように新しい技術にももちろん投資はしているが、それは今の中国や台湾も同じで、むしろ人海戦術が重要な局面では日本は圧倒的に不利。それに、せっかく良い部品を開発しても、国内にはもはやそれを大量消費してくれるような生産工場がほとんど残っておらず、じゃぁ中国が買ってくれるかと言うと、だんだんそれが厳しくなってくる。中国での部品の自給率は今後上がる一方のはずだ。工場設備の機械も、いままで日本から輸入していたものも、もうすぐ中国で自給できるようになる。こうなってくると本当にもうお手上げで、中国が相手にしないような極端にニッチな分野か、もしくは医療関係などの参入障壁の高いものか、それぐらいしか仕事が無くなる。
 
何となく漠然と、将来は東南アジアで仕事するようなことになるかもな・・・なんて思ってたけど、いよいよ視野に入れないとまずいのかなぁという危機感を、今更ながらリアルに感じてしまった所。