chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

インフレ誘導なんかしなくたって、すぐに制御不能なインフレ時代がやってくる

 
ネタ元は、最近のデフレに関する議論。これがどうも納得いかない。
色々私なりに考えた結果、やっぱりインフレ目標政策なんか無用、という結論だ。むしろ、目前に迫りつつあるインフレ時代に対する備えを、今すぐ始めなくてはならない。
 
最近、一時的に日本が僅かにインフレに転じた時期があった。2008年7月の原油価格高騰の時である。このときは、色々な業種で「原油価格高騰のため云々」という理由で値上げが見られた。
 
その原油価格が、また再び不気味な動きを見せている。
http://www.dojima.ecnet.jp/Es-NYOIL.htm

(2009/11/24時点のグラフを上記サイトから転載)
 
一時期1バレル=45ドルぐらいまで下げていたNY原油価格が、再び80ドル付近まで上昇してきている。
これがこの先下がるのか、それとも再び去年の様に高騰するのかは素人の私には予想できないが、去年のような高騰が今後起こらないという保証はない。高騰をうまく回避することができたとしても、長期的なトレンドで見れば、中国やインドの景気回復・経済発展に伴って原油が供給不足の状態となり、値上がり傾向となることはほぼ間違いないとみられる。中国やインドでの景気回復が本格化すれば、それに伴って原油以外のあらゆる資源も値上がりに転じるだろう。今は円高に相殺されてあまり大きな問題にはなっていないが、そのうち資源の国際価格上昇を内部努力で相殺できなくなり、日本国内の物価上昇を招く時が来ることは、ほぼ間違いないと思われる。
 
この国際価格上昇のやっかいなのは、日銀も日本政府も日本の業界団体も、それをコントロールする手段をほとんど持ち合わせていないということである。これがいかに恐ろしい話か、想像してみてくれたまえ。
 
まず日銀は、良くも悪くもお金のことがメインの組織だから、資源の国際価格変動という問題に関して積極的な手段が取れるとは考えにくい。せいぜい金や希少金属を売買する程度だ。
政府の場合は、一時的な問題ならば、法律で定められた各種資源の備蓄をうまく活用して各種業界団体と共に何らかの対抗策が取れるかもしれない。しかし、いかんせん備蓄量が少ない。長期的なトレンドとして値上がりが続く、という状況になってしまったら、やはり無策であることに変わりはないと思われる。
 
去年の原油価格高騰は、そのまま国民生活のガソリン価格高騰につながった。この問題の恐ろしいところは、現実にあの投機的な価格上昇問題に対して、日銀も政府も業界団体も、日本国民全体として、高騰を防ぐ有効な対策は誰も何も打てない、ほとんど無力だと証明されてしまったということだ。
 
長期的に資源の価格が上昇していくという予測が立つのであれば、微力ながらもいくつかの対抗策が考えられる。既に日本の大手自動車メーカーは、将来の原油価格高騰を見越して電気自動車の開発に本腰を入れ始めている。政府にも、政府にしかできない仕事というのがあるはずだ。
 
・各種資源の備蓄を増やす。
幸い、今日本は円高で、まだ価格高騰は本格化しておらず、割安な価格で色々な資源を購入できる。この安い時に、国民の有り余る貯蓄で資源を長期備蓄しておく、というお金の使い方は一考に値するのではないかと思う。将来値上がり確実な資源のために、赤字国債を発行してでも大規模長期備蓄するべきと思う。値上がりした時に売却すれば確実に返済できるのだから、半端な公共工事よりよっぽど確実だ。資源価格高騰が起こってしまった時に、備蓄資源の売却は政府が取りうる唯一の対抗策になりうる。
 
・資源のリサイクル施設建設に大型投資をする。
都市鉱山なんていう言葉が聞かれるようになって久しいが、そのリサイクル施設建設のために政府がもっと大規模な支出を行うべきだ。こういう開発は短期では元を取りにくいし、現状のように安い価格で資源の輸入が可能な状態では、なかなか民間企業では手が出しにくい。しかし高騰してからでは手遅れなのだ。リサイクル率を高めて資源の輸入依存率を下げることができれば、各種資源を備蓄していたのと同じような効果が期待できる。
 
 
去年のような資源価格の上昇は、近い将来に間違いなく、またやってくる。それが前回の規模を超えないという保証もない。日銀も政府も、コントロール不能なのに、どんどん輸入資源の価格が値上がりし、それに伴うインフレが発生したら、いったい誰がこれを喜べるのだろうか。それが想像のはるか上を行く超インフレを招くことだってあり得るのだ。 資源の国際価格という問題に関して、いかに日本という国が無力かということについては、もっと国全体で深刻に受け止めなくてはならない問題のはずだ。 インフレ誘導なんてのんきな事を言っている場合ではないのだ。 
 
 
参考:
インフレ的政策は採用せず=日銀の白川総裁 --- 時事ドットコム

焦点:デフレ宣言しても政府の具体策見えず --- ロイター
 
白川日銀総裁の正論と菅副総理の危機感 - デフレ問題めぐる2人の発言 --- JB PRESS

デフレ対応には金融政策の役割が大事=藤井財務相 --- Yahoo! News

国家戦略室への提言「まず、デフレを止めよう〜若年失業と財政再建の問題解決に向けて」 --- 勝間和代公式ブログ
 
デフレFAQ --- 池田信夫blog part2
 
日本は本当に「おカネ不足」なのでしょうか?!?! --- アゴラ 言論プラットフォーム 前田拓生
 
各国のインフレ目標政策とその効果 --- DeLTA Function

デフレ信仰の背後にあるもの --- すなふきんの雑感日記
 
あえてオーストリア学派のデフレ論を読んでみる --- masayangの日記(ピスト通勤他