chintaro3の日記 

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最新の光ファイバ通信のニュースをひろってみた

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これらの記事では最近の光ファイバー通信関連の開発の具体的な事例が何も出ていなくて残念だったので、軽くご紹介。専門家じゃないけど、多少通信をかじったことがある人なら、最近の記事をこういうふうに読むだろう、という事で。
 
NTT、1本の光ファイバで69.1Tbpsのデータを240km伝送させることに成功 --- マイコミジャーナル
 
「1波長171Gbpsの信号を432波長多重」させているということなので、送受信の端末は恐ろしく複雑で高価なものになる。コスト度外視で実証実験すればこれぐらい行けるよ、ということ。1本の光ファイバはとても細いので、数十本〜数百本束ねることも、もちろんできる。だから仮に、この実験にかかった費用の数百倍のお金をかけられるならば、バックボーンでこの数百倍ぐらい(ペタbps級)の通信速度を実現することは、技術的には既に射程距離に入っているということでもある。今はまだ、それではコスト的に商売にならないのと、そもそもそんな膨大なトラフィックが存在しないので、コストダウンをはかりつつ市場が成長するのを待つ、というフェーズに入ることになるのかもしれない。
 
経済評論家の某池田氏をはじめとして、「光ファイバより無線のほうが早くて安く出来るんじゃないか?」ということを考えている人もいるみたいだけど、上記のようなレベルの話になると、無線では全くめどが立っていない。無線は、TVのように1つのデータを同時に大勢にばら撒くには確かに効率が良いのだが、1対1の通信だと非常に効率が悪い。1対1の通信の話に限定するならば、1本の光ファイバで伝送出来るデータ量の論理限界と、1つの空間において無線で通信できるデータ量の論理限界は、だいたい五十歩百歩と考えられる。光ファイバを何百本も束ねました、なんていわれたら、無線では絶対にたちうち不能。まさに次元が違う。
 
 
一般的な光ファイバーの1000倍の速度、NECが100Gbpsの超高速通信に成功 --- Gigazine
NTTが69.1Tbpsに成功したっつってるのに100Gbpsなんてしょぼいじゃん、と思うかもしれないけど、これはターゲットとしているコストが全然ちがう。将来的には大量生産して、身近なルーターやパソコンに搭載することを想定した技術だということを考慮して読むべき。
 
インテルの光ファイバ技術「Light Peak」--USBとの組み合わせで主流になるか --- cnetJapan
USB3が既に市場にではじめているが、メタル線を使ったUSB3には、はっきり言って先がない。メタル線でUSB4・・・USB3の10倍の速度・・・を実現することは、無理とは言わないが、あまりにも高精度で取り扱いがデリケートな事になってしまう。それを見越して、天下のあのインテルが、「Light Peak」っていう光ファイバ通信を本気で立ち上げようとしている。

 Intelは試作品のチップを完成させており、この技術の出荷準備は2010年に整うと述べている。Light Peakは現段階で、光ファイバケーブルを通じてどちらの方向にも10Gbpsでデータを転送することができるが、Intelによればさらにずっと高速にできるという。Intelの光入出力プログラムオフィスのディレクターであるJason Ziller氏は、10年以内に100Gbpsに到達するだろうと述べている。

ここでさっきの、NECの100Gbpsの話がつながってくるわけ。USBのように身近なインターフェースとして、100Gbpsの光ファイバ通信を家庭やオフィスに普及させる、という方向に向けて、既に世界は動き出しているってこと。このぐらいは、常識として知っておかないと、そろそろ恥ずかしい。
今まで光ファイバを使ったシステムが高価だったのは、生産に職人芸的な事が要求される場面が多かったせい。本気で自動化した生産装置を作って民生用に大量生産すれば、今の1/10ぐらいのコストにすることは十分可能と考えられていて、実際にインテルはそこを目指しているようだ。詳しくは「Light Peak」で調べてみるよろし。
 
 
「えーだって光ファイバって、折り曲げとかできなくて取り扱い面倒じゃん」という人にはこちらのニュースをどうぞ。
旭硝子がLight Peak対応の光ファイバを開発、折り曲げても通信可能 --- EETimesJapan
 
 
つまり、この辺のニュースを総合すると、「この先10年ぐらいで、身近なパソコンなどの通信は100Gbpsの光ファイバに移行。バックボーンは光波長多重通信の技術などを使って数十ペタbpsのレベルへ。」っていう状況が射程距離に入っており、実証実験から実用化に向けて動き出しているということがわかる。
ただし、大きな課題はまだいくつか残っていて、その1つが、「通信経路を切り替えたりするルーターをどうするのか」という問題。
例え話をすると、時速100Kmで走れる高速道路を作っても、料金所で混雑して大渋滞が起きたら高速道路の意味ないじゃん、という話に似てる。この料金所の大渋滞をどうするの?というのに相当する話が、光ファイバ通信でも深刻な問題になりつつあるってこと。で、そのブレークスルーを見つけるために、「光ルータ」ってのに投資してみるべきか否かっていうのが今回の件ね。
 
お役所が絡むとろくな結果にならないから引っ込んでろよ、っていう意見があるのはしょうがないと思う。開発者側は、罵詈雑言をあびようとも「使えるものは何でも使う」っていうぐらいのしたたかさを持つことも必要だと思う。