パターン1:
・専門家で裏方を固めるやり方。
・専業の作詞家、専業の作曲家、専業のアレンジャー、etc.
・歌手は歌うのみ。
いわゆる「歌謡曲」「アイドルの歌」の大半はこれ。
メリット:
・それぞれを専門家が担当するので、基本的なレベルが高い。
・複数の人が関わるので、世の中の雰囲気を上手に反映した曲を作りやすい。
・作詞家や作曲家が交代することで、がらっとイメチェンできる。
デメリット:
・必ずしも「歌手が歌いたい」と思う歌であるとは限らない。歌手の個性と歌の内容の乖離。
・たくさんの人が関わるので、大きな売り上げが必要。その結果、しばしば売り上げ重視で観客に媚びたような作風になってしまう事がある。
もともと、大半の流行歌はパターン1だった。作詞も作曲も、歌も、何を勉強するにもコストがかかる状況の場合には、1人で全部やることは時間的・金銭的に難しく、分業するしかない。それが、時代とともに状況が変わる。
パターン2:
・作詞作曲は、自分もしくは自分たちでやる。シンガーソングライターとか。
「アーティスト」などと呼ばれるような人は、こちらのグループが多い。作詞作曲に限らずあらゆる事を手掛ける人も。
メリット:
・歌手にとって、歌いたくない曲は、歌わなくていい。
・経費がかからず小回りが利く。自由度が高い。
・なんとなく、パターン1よりも、パターン2の方が格上であるかのような印象がある。これは、パターン1に売り上げ重視の観客に媚びた作風の物が見られる事を軽蔑したものと思われる。「アイドル」とか「タレント」とかいうより、「アーティスト」の方がカッコイイ。(注:俺はそうは思わないけど。)
デメリット:
・マンネリになりやすい。そもそも、人間1人の経験で、歌になるような出来事なんて、そうそう身の回りに転がってないのだから、よほど志が高くない限り必然的にそうなる。
・自分が作った自分のイメージに縛られてしまい、イメージチェンジが難しい。
・しばしば、意味不明な歌になる事がある。それはそれで面白いのだけどw。
で、ボカロが今どういう状況かというと、初音ミク等の「ボカロキャラ」に着目するならパターン1であり、「ボカロP」に着目するならパターン2になっているという、ハイブリッドな状態なのだな。それで、お互いの弱点を補完しあい、ボカロシーン全体としてはうまい具合になっていると。
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