chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

株式会社というシステムが時代遅れになる時

 
資本家が資本を投資して会社をつくる、というスタイルには、長所短所それぞれあるだろうが、ITが発展するにつれ、経済発展にとって無視できないような弊害が出てきたと思う。会社による情報の囲い込みだ。
 
一般に、業務上知り得た情報は、会社外で口外してはならない。インターネットで公表するなど、もってのほか。もしそんなことをすれば、内容によっては懲戒免職に損害賠償のオマケまでつきかねない。例えばそれが個人情報のようなものだったら、これはもう弁護のしようが無い。
 
しかし、会社組織が囲い込んでいる情報というのはそういう物ばかりではない。公開したほうが社会全体にとってプラスになるような情報も沢山持っている。
 
私は仕事柄、マニュアルの類をよく作る。このうち、たとえばWindowsの設定手順のような一般的な内容であれば、ぐぐれば大抵何がしか情報が出てくるので、その内容をざっと確認して支障がなければ、そのまま「このURLを参照しろ」で済ませてしまうことも多くなった。見つからなければ自分でその手順書を社内向けに作ることになる。さて、その手順書は、本当にオープンにしてはまずいものなのだろうか?
 
経済効率という観点からいえば、これは検索エンジンに引っかかるような場所に公開すべきだ。それによって、私と同じようなことで、どこかで2度手間三度手間が発生するのを防ぐことが出来る。殆どの場合、それは自分の会社の業績には何の悪影響も無い。従って、禁止しなければならない理由も、殆どない。
 
しかし、稀には競合他社がそれを利用するような事もあるかもしれない。敵に塩を送るような状況だ。ここは判断が別れるかもしれないが、私はそれでも公開すべきと思う。社会全体にとっては、その方が効率がよく、望ましい状態だと考えるから。
 
もう一歩踏み込んで、明らかに自社独自のノウハウのようなものだったらどうだろう。この場合、もっとも最悪なケースとしては、競合他社に仕事を取られて自分の会社が傾く、などという状況さえ起こりかねない。これは資本家にとっては許しがたいことで、懲戒解雇とか損害賠償とか、それ相当の処罰を持って対応することになる。
 
しかし、こういう極端な状況でさえ、社会全体にとって、それが良いことか悪いことかと言えば、良いことである場合も多いと思われる。ある会社が潰れた後に、その会社で有能だった人が、それまで競争相手だった会社に入り直した、という話を聞いた例は一度や二度ではない。こういう人材移動がスムーズに行われるのならば、会社が潰れることは必ずしも社会全体にとってマイナスでは無くなる。
 
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情報を発信する手段が書籍やTV等しかなかった時代には、仕事で得たノウハウを世間一般に知ってもらうにしても、資本家の力を借りることが必要だった。だから、あらゆる知的財産は資本家の掌中にあったとも言える。しかし、インターネットがこれだけ発達して、検索エンジンで必要な情報が簡単に得られるようになると、もはや資本家による情報の囲い込みは必要なく、むしろ邪魔な状況が出てくる。
さらに進んで、会社という組織にとってお金より情報の方が大事、という状況になると、資本家の権威などというものは形骸化してしまう事になるだろう。「お金=信用」ではなく、「情報=信用」となった社会では、株式会社というシステムは時代遅れになりうる。
株式会社というシステムは、インターネットなどというものを想像することも出来ないような大昔に考えだされたものだ。それがいつまでも永遠に世の中の主流であり続けられると考えるのは、おかしいのではないか。