chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

原発自賠責保険

 
ネタ元:
@skasugaさんの「科学者の責任」についての一連のつぶやき --- togetter
http://togetter.com/li/279669
 
原発推進派には潤沢な資金が用意される一方で、反対派に資金が行かない社会構造になっていることは大きな問題だよな。そんな状況でいくら枝葉末節のルールを厳しくした所で、たちまち骨抜きにされるに違いない。
 
で、既に世の中に存在する枠組みを応用してこれに対処しようとするならば、保険会社に活躍してもらうのが、最もスマートで合理的なんじゃまいか。
 
自動車ならば、「自賠責保険」への加入が義務付けられている。万一交通事故を起こしてしまった際に、車の所有者がたとえ無一文だったとしても、被害者に対して金銭面での最低限の救済をするための仕組みだ。
これに対して、原発には、実質的に有効な自賠責保険に相当するものがない。いや、一応それっぽい物はあったようだが、蓋をあけてみれば屁のつっぱりにもならなかった(1200億円)。
 
参考:
福島原発は2010年8月から保険がかけられていなかった」--- FRANCE MEDIA NEWS
http://francemedia.over-blog.com/article-2010-70018735.html

福島原発とその6基の原子炉は、様々な原因でプラント自体が傷んでいた為、2010年8月以来、保険がかけられていなかったとの情報がAFPに寄せられた。このプラントの所有者であり事業主の東京電力は保険料が高過ぎると判断し、保険証書の更新をしていなかった。

 
そこで取るべき方策は、やっぱり本気で保険でもって原発事故に対応する枠組みづくりなんじゃないのかと思うんだが、当の保険会社は、リスク算定が出来ないとか、事故った場合の額が巨額すぎて手に負えないとかという事で、逃げてしまった。
 
参考:
「東電、福島第一の損保契約更新できず」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120113-OYT1T00972.htm
この記事は事故後の原発に対しての話だが、これに対処できないレベルの保険しか無いならば、今健全な原発であっても同じ事だ。
 
点検のために一時停止していた原発を再稼働させるかどうかということを政治的に判断しようとしているが、
関連:「大飯原発、3活断層連動を考慮 保安院が見解 再稼働に影響も」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120328/dst12032814220007-n1.htm
賛成するにせよ反対するにせよ、この問題を、政治判断で最終決着させるというのは、なんかおかしい気がする。だって政治家は原発の専門家じゃないし、その支持者だって大半は専門家じゃないんだもの。どっちに転ぶにせよ、丁半賭博と大して変わりはない。
じゃぁ科学者に判断させるのかといえば、それもなんか違うんじゃないかっていうのが先の話だよな。そこでやっぱ矢面に立つのは「保険会社という組織」であるべき、なんじゃないのかと思うんだよな。
 
仮に、原発の金銭的リスクを全て引き受ける保険会社があったとしよう。その保険会社は独自にリスク算定し、独自に掛け金を決める。電力会社には、どんなに掛け金が巨額であろうとも、その原発自賠責保険への加入を、法律で義務付ける。自動車みたいにね。安全な原発なら、掛け金は安くなるので、電力会社としても、安全対策を強化するインセンティブが生まれるだろう。保険会社は、何か欠点を見逃せば、後で多額の保険金支払いになってしまう可能性がある事になるので、それこそ厳しく審査することになるだろう。かといって、理不尽な要求をすれば、稼働も不能になり、つまるところ保険そのものが不要ということになり、掛け金が得られない。ここでは非常に高度な専門性とリスク算定が必要になる。その責任の所在は、具体的に巨額のお金という形で可視化される。
 
・・・というのがあるべき姿なんじゃね?
 
しかし、現実は、保険会社が逃げてしまった。
 
あのな、保険会社が逃げるようなものを、稼働させるなよって話。
 
保険会社が真面目に引き受けられる程度のリスクにならない限り、再稼働はやめるべき。もちろん新規の原発もありえない。
 
原発が安全だと言い張るのなら、原発推進派が攻撃すべきは、反対派じゃなくて、腰抜けの保険会社なんじゃないのかね。