chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

「世界中の人が借金を返すとこの世からお金がなくなる」ナ、ナンダッテー

 
ネタ元:
アメリカ連銀と日銀の不換紙幣への捉え方の違い --- シェイブテイル日記
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20120629

アメリカ人にはマネーサプライの全てに債務以外の裏付けもないという事実はなかなか飲み込めない。 まして、全員が借金を返済したらもはやマネーは存在しなくなるという驚くべき事実は思い描くことも難しい。 しかしそれが事実なのだ。 1セントも流通しなくなる――全ての硬貨と紙幣は銀行の金庫に戻ってしまう――し、誰の当座預金にも1ドルも残らない。 要するに全てのマネーが消失する。

 
解りやすいw。でも本当なのかね? 世界中の全部の借金を世界中の人が一度に返そうとしたら、勘定がぴったり合わず、なぜかお金が足りなくなったとか、余っちゃったとかいうことになる可能性は、現実には十分あると思うけどね。ドル紙幣なんかは偽札の問題があるに違いないから、全部借金を返したら、偽札分が余るはずだ。
これに対して、日銀の言い方はちょっと歯切れが悪い。正直だな日銀w

銀行券の価値の安定については、「日本銀行保有資産から直接導かれるものではなく、むしろ日本銀行の金融政策の適切な遂行によって確保されるべきである」という考え方がとられるようになってきました。こうした意味で、銀行券は、日本銀行が信認を確保しなければならない「債務証書」のようなものであるという性格に変わりがなく、引き続き負債に計上しています。

 
「全てのお金はだれかの借金である」という解りやすい考え方で、思考実験してみよう。例えば日本の不景気。この考え方に従えば、「借金をする人が増えず、借金の総量が増えないから、お金の流通量も増えず、不景気なのだ」という説明になる。好景気にするには、皆が借金をすればいい訳だ。確かに、銀行では、本来なら貸付に回すべきお金がだぶついているらしい。
日銀当座預金残高、44兆円台と最高更新の見込み−即日オペ見送り
 
なぜ借金をする人が減ったのか。たとえば、自分がなぜ借金をしていないのかといえば、「担保に出来るような資産も連帯保証人も居ないから」という事になる。こういう人は私に限らず多いだろう。では担保に出来るものとは何か。普通に認められやすいのは土地、建物、その他換金が可能な物や権利。少額ならば自動車やバイクを担保にする、なんていうケースもあるだろう。しかし改めて考えるに、この、「担保にできる物」っていうのが、あまりにも保守的すぎやしないか、という事に気がつくよな。これが不景気の原因なんじゃないのか。
 
例えば、ブログに書いた文章を担保にお金を借りることが出来たら、新時代来ちゃうよなぁ。動画投稿すると、その動画を担保にお金が借りられる、とかさ。なぜそれが出来ないかというと、ブログの文章や動画サイトに投稿した動画を確実な形でマネタイズする手法が確立されてないからだ。 土地、建物、自動車、バイクってのは、それを売買する人や品質保証をする人が、それなりの資格を持って、責任を持ってその業を行ってくれる。インターネットにはそれが無い。
 
そう考えると、ネット上のコンテンツをきちんとマネタイズし、権利の売買が可能な物にしていくということは、貨幣経済の未来にとって本質的に非常に重要な事であり、むしろ避けられないのではないか。それをしなければ、世界中の人がインターネットにヒトモノカネを注げば注ぐほど、相対的に、担保にすることが出来る資産の総量が目減りしてしまうだろう。担保の総量が減れば、連動して借金の総量が減り、世の中を流通するお金の総量が減り、世の中はますます不景気になる。 担保に成らないインターネットは、名目GDPにとっては実はマイナスの存在でしか無いのかもしれない。
 
 
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反対側の極論として、世界中の人が借金を返してしまって、現在の制度で言うところの「お金」が消滅してしまっても、代わりの仕組みが構築できるならば問題ないのではないか、という考え方もありそうだな。 今の「お金のしくみ」というのが、人類にとって唯一無二の、Bestな選択肢であると決まったわけではない。長い人類の歴史の中で、過去数百年か数千年の間、それが主流だったという話に過ぎない。
これだけ情報網が発達した現代ならば、お金が無くなった時、それによって生じる不都合を解消するための情報も、ミクロなレベルならば即座に得ることが出来るだろう。それを積み重ねていけば、実はマクロなレベルでも大して支障がない、なんてことも有りえるのではないか。
 
 
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話は変わって金利の話。「全てのお金は誰かの借金である」と定義するならば、金利って何なんだ。これってインフレそのものなんじゃないのか。だって、何の富が生産される訳でもないのに、時間が経つだけで何%かお金が増えるなんて、それ自体はお金の価値を貶める行為に他ならないだろ。インフレのメリット以外に金利を正当化する理由が無い気がする。すなわち、「目標インフレ率2%」なんてまどろっこしい表現をせず、金利を2%にすれば良いのだ。借金をする人には大変だが、預けている人には利益なので、マクロ的には相殺され、インフレのメリットが残る。
まずいのは、それによって「借金やーめた」っていう人が増えること。借金する人が減ると(以下略。 だとするならば、景気を良くするために、借金する人を増やす方策として、なぜこの際、一時的にでもマイナス金利を導入しないんだろうね。銀行にしてみれば、もし預かったお金の運用先がなく、一方の預金者には金利を支払わなくてはならないなら、どの道マイナスだ。固定金利だと救いようがないが、変動金利制で、一時的にマイナス金利になるだけなら、アリなんじゃないのかな。それが「呼び水」になって、良い結果をもたらす可能性についても、考えてみる価値があると思う。
 
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7/4追記
http://h.hatena.ne.jp/Midas/299885539896409703

資本主義(特に貨幣経済)は、利潤を生み出さないといけないから。

 
引用以外にも、普通におもしろいことが書いてあるんだが、その前に書いたことと組み合わせて
 
・すべての人が借金を返済したらお金がなくなってしまう
・資本主義(特に貨幣経済)は、利潤を生み出さないといけない
 
この2つを組み合わせると、利潤のためには、誰かが借金をしなくてはならない、という話であることがわかる。
 
つまり、資本主義のもとでビジネスを成功させようと思ったら、「借金してでも人が欲しがるようなもの」を提供しなくてはダメだってことだ。確かに、うまく行っているビジネスというのは、これに当てはまる気がする。