chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

夢の功罪

 
ネタ元:
これから生き残る人材ってなんだろうって考えると鬱になった。
http://anond.hatelabo.jp/20140324204657
 
読んだ第1印象は「なにこいつ仕事をより好みしてんの?」っていう感想だったんだが、落ち着いて自分の昔を思い返してみるに、あぁ、結婚してマイホーム買って、子供育てられるような仕事じゃないと、この人にとっては意味が無いんだろうな、と想像した。そういう当たり前の夢を実現できる仕事と、そこに適合できる自分が、この人にとっては必要なんだろう。
 
今の俺はもう、そういうの卒業しちゃったけど、これからの若い人に、いきなり「諦めろ」みたいな話は無いよな。反省。
 
ちょうど、こんな記事も流れてきた。
 
ドワンゴ川上量生会長 「受験料徴収」の真意 大量の“廃人”を生み出す「就活」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3682
 

リクナビは、学生のエントリー数が増えると、企業からの広告費を獲得する交渉が有利になる。だから、盛んに学生にエントリーを勧める。

 採用試験という社会の入口で何度も落とされて気持ちを折られ、職のない状態で放置される。人が資源の国であったのに、社会人になる前に自信をなくして「廃人」になるような人たちを大量に生産している。

 
これは私も酷いと思う。改善が必要だと思う。ただし、これと似たような構図で、「絶望を大量生産してしまう仕組み」って、身の周りに溢れているよね。
 
例えば、今、春の選抜高校野球やってるだろ。普通に試合するだけなら縁故知人が見に来るだけだが、TV中継やっちゃうもんだから、あまりにも多くの人に注目されすぎる。そのせいで野球部員が頑張り過ぎて、野球以外は何にも取り得が無いような人を量産してしまう。ごく一部の本当に優秀な人はプロ野球の選手になれるが、ほとんどの人はプロになる事を諦めるか、そもそもプロになろうとすらしない。
 
プロ野球≒一流企業、 高校野球リクナビ と考えれば、同じ構図がそこにあるじゃないか。
 
ニコ動だってそうだ。たくさんの人が膨大な時間をかけて動画作成して投稿しても、人気が出るのはほんの一握り。頑張って動画作成したのに、何の話題にもならずに埋もれて行く悲しい動画がどれだけ埋もれていると思っているんだ。
 
人気動画≒一流企業、 ニコ動≒リクナビ じゃないか。
 
似たような事例は挙げればきりがない。これは、どっちが正しいか間違っているかという話ではなく、どちらが好きか嫌いかだよね。普通は、野球を嫌いな人はやらなければいいし、ニコ動を嫌いな人は投稿しなければいいというだけの話で済む。リクナビが嫌いな人は利用しなければいい。リクナビに関して、その功罪が世間一般に正しく認知されているとは言い難い状況への問題提起としては、上記の記事は良い仕事をしたとは思う。
 
で、最初の話にもどって、元増田の絶望についてなのだが、これも、この手の絶望と同類に見える。「これから生き残る人材ってなんだろうって考えると鬱になった。」って、まるで、「プロ野球選手になれるかどうかのギリギリのラインに居る選手の苦悩」のようじゃないか。
 
落ち着いて考えれば、別にプロ野球の選手になれなくたって、そこそこの仕事でそこそこの給料を得て、そこそこの生活をすることは出来る。客観的に見るなら、そんなに絶望する必要は無い。この増田氏も同じだ。ただ、本人としては、「夢」に浮かれていた反動としての「絶望」がある。麻薬中毒患者の麻薬が切れたようなものだ。ここから1人では立ち直れない場合もあるから、必要な助けがうまく回って行く世の中になると良いね。 
 
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とはいえ、石油をはじめとする資源コストが今後上昇して、人々の生活水準はこれからさらに下がって行くフェーズに入るだろう。これは回避する手段がほとんど無いに等しいので、「絶望を大量生産してしまう仕組み」としては史上最悪だ。ゆっくり議論するような時間さえ、現実的にはもう残されていないかもしれない。