chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

トヨタ生産方式の本質は

 
今の日本で、ほぼ唯一の成功事例であるかのように、トヨタ生産方式がもてはやされている。
 
しかし、トヨタ生産方式を採用して、大幅に業績が伸びたという話は流れてこない。生産効率を上げたって、売れなければそれまでの話だ。そんなに持ち上げるほどの話なのかと思う。
しいていえば、トヨタ生産方式の中に組み込まれてロボットのように働くひとたちを洗脳することには、役立つだろうと思われる。というか、ほぼその効果しかないのではないかとさえ思える。
 
私が考えるに、トヨタの業績の好調の理由は、生産方式とはぜんぜん別の所にある。一番のポイントは、自動車を買う時、その自動車自体を担保にして、ローンを組めるという事だ。これは自動車の信頼性が高く、非常に長持ちするから成立する話で、その点では世界的にも名高い。それこそが好調の本当のキモだ。
 
家電メーカーがなぜ苦境に陥っているのかと言えば、家電製品自体を担保にしてローンで家電製品を購入する、というケースが、どんどん減少してきてしまっている事と無関係ではないはずだ。家電業界は、中古家電の流通にはあまり協力的でない。中古品が売れると新品が売れないから・・・ということなのだろうが、そのために中古市場がしぼんでしまうと、担保としての価値も失われ、ローンを組む事が難しくなり、結局、新品の売り上げも落ちるのだ。
 
経済をふくらましていくには、誰かが借金をする必要がある。借金をするためには担保が必要だ。その借金と担保の両方をせっせと作りだすと言う事が、トヨタの好業績のミソなのであり、経済を膨らます原動力たりえている理由なのだ。
 
なぜ日本のIT業界が厳しいのかってのも、これで説明できる。ITの成果物は、ほとんど担保にならない。だから、IT投資のためにお金を借りる事は容易ではない。IT以外のものを担保に持って来なければならない。それでコストダウンしかできないのであれば、そのコストダウン分の投資しかできない。パッケージソフトの場合も中古品の流通には色々な問題をかかえている。これの解消には、ハード的なドングルキーが手っ取り早いと思われるのだが、なぜか多くのソフトメーカーはこれに積極的ではない。謎だ。
 
家電業界やIT業界を復活させる為には、「それを担保にお金を貸してもらえるような物」を作って行く必要がある。そして中古品を市場で流通させる仕組みも必要になる。これは欠かせない。