chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

地下アイドルのオンチはロックなのか?

 
歌のうまい地下アイドルも居る。オッサン目線から見て信じられないほど歌がへたくそ(つーかオンチ)なのに、そこそこ人気のある地下アイドルもいる。
歌が下手で、人気も無い地下アイドルなら今までもたくさん居た。それが、歌が下手なのにちゃんと何百人か集客して単独ライブとかやってるグループが珍しくなくなってきて、あれ?これって、案外、今後こういうのが主流になっちゃったりするのか??? と思った。
 
壊滅的に歌が下手なのにそこそこ人気が出ちゃったアイドルグループで思いつくのは、でんぱ組よな。ただ、でんぱ組はレコーディングされたものは修正がかかってた。
それが、CDが売れなくなって、ライブ映像とかがメインコンテンツになってくると、生歌である限りはもうオンチを隠せない訳。なんだけど、それで、すくなくともDVDに写っている観客はちゃんと熱狂している。つまり、オンチかどうかなんて、どうでもいいわけだ。
 
あぁ、そうなのかと。
 
例え話で行くと、ギンギンに歪みまくったエレキギターの音は、今ではむしろ普通だが、当初は年配の人には受け入れられなかった、歪んでる音なんかダメだと。それが若い人には受け入れられ、その人たちが大人になり、おじいさんおばあさんになり、今では「歪んだ音はダメ」なんて言う人は絶滅した。
あるいは、初音ミクが世に出て10年経った。音程が正しければよいのなら、初音ミクに歌わせとけばよい。何もしなくても平均律で歌ってくれる。
録音した音声の音程修正だって、今やノートパソコンにそれ用のソフトを入れるだけで可能だ。つまり、「音程が正しい」ということの価値は、昔と比べると、ずっと下がってしまったのだ。それでも、自分なんかはオンチよりは正しい音程の方が良いだろうと思ってしまうのだが、もはやそういう問題では無いのだろうな。ちょっと理解した。つまりその、支離滅裂な音程というのは、生身のリアルな人間ならでは、のものであるわけで、ライブ会場では、その「生身の人間であること」に、まず、意味が有る訳だよ。音程修正された録音音声を流して口パクされるより、オンチの生歌のほうが観客は喜ぶ。
 
歪んだエレキギターの音が今やギターの音色のスタンダードになったように、オンチな歌声がスタンダードになる時代は来るんだろうか。それとももう、そういう時代が既に来ているんだろうか。
 
なかなか受け入れがたいのものは有る。昔、甲本ヒロトのパンクロックを初めて聞いた時は、ずいぶん型破りだな、と思ったものだが、今や地下アイドルの型破り加減はその比じゃないもんな。型破りというか型無しというか。
 
「芸能界」という枠組みがしっかり機能していた時代には、そういう、歌が下手な人は、舞台に立つ前の段階で、業界からパージされていたはずなんだよ。それが、地下アイドルというのは既存の芸能界とは異なる場所で生まれて、ファンと交流して育ってきたものだから、旧体制の芸能界と関わりが無い。そのおかげで、そういう人が舞台に立って人気を取れるようになってきたという側面もある。それは間違いなく良い事。
 
「伝えたい気持ちが伝わること」に価値が有る事は、昔も今も変わらない。