熱熔解積層方式(FDM方式)でPLAを使った3Dプリンタの話。
短所
・積層痕が残る。
・どうしても糸をひきやすい。
・失敗しやすい 素材の扱いに注意が必要
・吸湿して劣化しやすい。
・紫外線で劣化しやすい。
・有機溶剤で劣化しやすい。この性質のせいで、塗装にむかない。
・体積の大きなものは、作るのに非常に時間がかかってしまう。
・中構造の場合、中のすきまに水や油が入ってしまうと、取り除くのが困難。
・折れたり割れたりしやすい。
・サポータを取り除いた面がガタガタになる
・ねじのタップを直接造形する事は無理
短所に対する対策
・積層痕問題
・研磨して削り取る方法 →手作業だと寸法精度が悪くなる
・有機溶剤で溶かして滑らかにする方法 →寸法精度は成り行きまかせになってしまう
・パテで盛ってから削る →手作業だと(以下略
・熱を加えて整形する ・・・自動化するならこの方法しか無さそうだが、自動化した事例は見つからない。
→決定的な解決策は今のところ無し。妥協するしかない状況。
・糸引き問題
・素材の改良 糸をひきにくい素材の開発
・印刷時の温度の最適化でかなり良くなるらしい。
・ヘッドの動作速度の改善 糸を切る動きの改善
・造形物のまわりにウォールを作る方法 そこで糸を処理する
→決定的な解決策は今のところ無し。妥協するしかない状況。
・失敗しやすい問題
これについては、ノウハウの積み重ねで年々良くなっている。今後も少しづつ改善して行くと予想できる。
→最新情報をチェックしながら、自分でもノウハウを積んでいく必要がある。
・劣化しやすい問題
・素材にABSを使えば、紫外線防止のトップコートや水に強いトップコートを塗ることで改善する
・PLAの素材の改良で塗装しやすくする工夫はすすめられているっぽい。
→決定的な解決策は今のところ無し。妥協するしかない状況。
・時間がかかる問題
→これは原理的にしょうがない。
3Dプリンタで型を作り、素材を流しこんで作った方が早いかもしれない。
・中空構造の欠点
・やろうとおもえば、中身がぎっちり詰まった造形も一応可能。時間かかるけど。
・折れたり割れたりしやすい。
・炭素繊維入り素材に期待している。
・サポータを取り除いた面がガタガタになる
・水で溶けるサポータが開発されたので、2ヘッド式のプリンタなら解決可能になりつつある。
・ネジのタップ
・ナットを埋め込む方法が紹介されている
・実際やってみると、少し小さめの穴をあけておいて、タップを切る工具でメネジをきることは可能。
・ヘリサートを入れれば、普通のプラスチックなみの強度は普通にもたせることができる。
→つまり、普通のプラスチックとかわらん。問題無し。
まとめ: こうやってみると、積層痕問題と糸引き問題が根深いように見える。
ということをふまえて。
長所:
・案外、寸法精度がある。
・案外、固い。
・加工中に出るゴミが非常に少ない。
・下降中に嫌な臭いがしない。
・中空構造で軽いものを作る事ができる。これは他の方式では真似できない。
・モノコック構造が得意
・3Dモデルからのデータ変換が、ほぼ全自動化されている
・2ヘッドの3Dプリンタならば、2色造形が可能
・凹部の造形に、切削のような形状制約が無い
これらの長所を生かした造形事例としては、
・寸法精度+軽い →ドローンや飛行機模型、航空機用のプラスチック部品に
・寸法精度があって固い →ちょっとした組みたて治具や、金属への穴開け加工をするときの位置決め治具に利用可能
寸法精度が良いというのはすごく重要なポイントで、それさえあれば色々な用途が広がる。治具としての利用は、けっこう広まるのではないかと思っている。
・積層痕を逆手に取った利用方法
・立体地図
・木材っぽい素材の利用
・耐熱石膏で鋳型を作る時の型としての利用
・ロストワックス鋳造用のフィラメントもある。寸法精度は落ちるが、 これいいかも
ヘッドを横一列に並べたFDMとか、ないもんかね。印刷速度上がればいいのに