オタクな話題まっしぐらですが、なんつーか、地方からアニメが好きで好きでたまらない連中が東京で極貧生活している姿が超リアルにイメージできてしまうので、なんだか他人事ではないのでござるよ。
「高度に産業化したアニメは、赤字公共事業と区別できない、かも」
http://semiprivate.cool.ne.jp/blog/archives/000711.html
制作の時点で予算がなくて我慢しなくてはならないのは、まだ許せる。元を取るまでは借金だからね。それで、そのアニメが不振に終わったために制作現場の人の苦労がむくわれないのなら、それもしょうがないかとも思える。だけど実際は、制作が終わってもろもろのビジネスで大きな黒字を出したとしても、その黒字が制作現場にほとんどフィードバックされない・・・すなわち制作現場はいつも極貧、ということが問題なのかなと思うんだが、こんな話
サザエさんの波平さんで有名な声優が、サザエ以外にも多数のアニメに出演されながら、大御所であるにも関わらず、年収150万円しかなかったころ、京大卒でありながら、大ベテランでたくさんの仕事がありながら、同期の一割少ししか収入のなかったころ、まったく声優の地位は低く、権利も認められてませんでした
それでも長年俳優の裏方と見られ蔑まれながらも我慢してきた声優がとうとう権利の確立を目指して動き出し、
大規模なストライキも含めた抗議運動を92年に展開したのです。結果はどうだったのか。ある権利獲得についてだけは成功でした。つまり彼らが求めていた再放送時の権利料は認められ、ほんの少しですが報酬もアップしました。
そして彼ら先頭にたって戦った者たちを含む80年代の声優達は、ほとんど全部アニメの主要舞台からパージされました。
(注釈 パージ=purge、一掃されること、ここでは仕事を干されるの意味。)ある時期以降、アニメの歴史を調べていたら異様な急展開があることに気付きます。
93年から94年以降、新規アニメにおける主役級声優の変遷で、いきなりアイドル型の声優が急増していることと、アニメの全体としての再放送数が激減していることに。
声優はランク制であり、年数と経験で報酬の多寡が決まります。
アイドル型というのは、力もないので口うるさくなく、経験も少なく、おまけに若いのでランク制上、極めて安く済みながら、声優としての仕事以外にもアイドル的仕事を強要、あるいは協力させることで副次的な利益をいくらでもえられます。これ以降ですよ、いろんな経緯があったとはいえアニメの方向性が決定的に変わったのは。
今のアニメが萌えばかり、媚びてばかりというのは、買っている側の需要ばかりでなく、安く簡単にコントロールできる題材と盾突かない声優を持つ方がいいとした(背広組の)供給側の解決策であり、盾突いた声優たちに対する対抗的な回答だったわけです。
結果今でも平均的な声優の報酬はあまり変わってません。
それどころか、それまでアニメファンの再生産に貢献し、あらゆるアニメの再評価につながっていた再放送枠はほとんどの地域で順次消えて生き、今ではMXと一部の地域でのみほそぼそとあるだけですよ。
またそれまでの声優の技の冴えを見せた演技は段々と消えていき、今のアニメに見られるように若いアイドル声の声優が数年単位で使い捨てられるだけ、というアニメの急増を生みました。これらは声優たちが、飢えに苦しみローンも組めず、副業だけでなんとか生計を立てていた状況をおかしいとして自分達で何とかしなければと思い、立ち上がり、自分達と後輩達のことを考えて、個々人が首を覚悟でせめて最低賃金程度に平均年収を上げてほしいと戦った結果起きたことです
今のアニメの変化は、果たしてそれをしてしまった声優たちの責任なのでしょうか。
どう思いますか。
これ読むと、インターネットの違法UPも悪いけど、長年制作にかかわったスタッフに再放送の権利料を要求されたら再放送やめて仕事を干すという業界もかなり酷いことをやってきたんじゃないか、ということを踏まえて議論する必要があるな。