新入社員を電子系の回路設計を行うようなハードウエアエンジニアに育てなければならないとする。何から教えるか。
自分の場合どうだったか、思い返してみる。先ず、電子部品に対する興味というのがあった。それはまだ小学校の頃。
とにかく先にあったのは、電子部品に対する興味だった。昔の壊れたTVの中のたくさんの部品、中でも真空管がきれいでかっこいいので、それが何かもわからずにコレクションした。そしてそれを動かすためにはどうやら周りのごちゃごちゃした部品も必要らしいということでこれもコレクションして、お菓子の空き箱に分類した。それが何なのかを覚えたのは、ずいぶんコレクションが集まった後だった。いくつかの部品は、中にどんな秘密があるのか知りたくてペンチで割ったりして中を調べた。そしてコレクションを組み合わせて何か動くものがつくれないかと調べた。なんでもいい。なんでもいい。本や雑誌を買って読む。そして作る。何かの電気製品をバラバラにして集めた部品のコレクションが、まったく違う形で、新たな生命を宿したかのように、また動き出す。これは面白い。
今、自分がこの仕事を続けていられるのは、なんだかんだ言っても、「電子部品が好きだから」ということに尽きるような気がする。
登山家が、「そこに山があるから」山に登る人たちだとすれば、
自分は「そこに電子部品があるから」それを組み合わせて何か動くものを作る人。
だから、壊れた電子機器を簡単に捨てることができない。自分が手がけた電子機器ならなおさらだ。普通の人の目にはボロボロに見える基板でも、自分が手をかければちゃんと新品と同じように動かすことができる、ということが誇りだ。壊れた人間関係は直せなくても、壊れた電子機器なら意地でも直すぜ。へへ。
電子部品への愛情なくして、電子回路技術者は務まらないと、マジでそう思う。ソフト屋と話がかみ合わずに喧嘩になる理由も、どうやらこの辺にあるのかもしれない。
さて、こんなやつが、今時の大卒に何から教えればいいんだろう?