chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

地方の同人誌事情

 
明日から仕事だっつーのに、ちょっと凹んでいる。まぁ、年末、冬コミ秋葉原に遊びに行って浮かれていた揺り戻しみたいなものではあるんだけど。
 
凹んだ原因は、市内の同人誌を取り扱っている店にちょっと立ち寄ってみて、「冬コミ新刊!!」とPOPに書かれた同人誌が棚に並んでいるのを見て。全部エロエロ。表紙からしてエロいものしか並んでない。中には、たぶん、超人気で入手困難な作家さんのものなんだろうけど、棚に並んでる部数が1部しかなくて、1冊2000円〜4000円ぐらいの値札が付いているものもある。在庫が数十冊以上あるものは1冊600円〜700円ぐらいの価格付け。
メロンブックス http://www.melonbooks.co.jp/
 
普段、同人誌を熱心に買ったり読んだりしている訳でもない私がいらんことを言う筋合いのものでもないとは思うんだけど、ここで気に入らない事がある。
 
・入手困難な人気の同人誌がコミケ直後に店舗で高額取引されること
同人誌自体が、本来の権利者の黙認に甘えて成り立っていると言われている。そこからさらに、転売厨によってごく少量のみ仕入れられたとみられる同人誌が、次の日には何倍ものプレミアが付いて再販売される。なんというかこの権利関係のしっちゃかめっちゃか加減て、カオスにもほどがあると思わないかい。 まぁそりゃ、あの寒空を始発電車から何時間もならんで仕入れた転売厨の労力を金銭評価したら、売れるかどうかも分からなければ弾数も限られた状況でそういう値付けになるのは・・・商売としてはそうなのかもしれないんだけど、なんかとても気分悪い。人間の汚い部分を見せつけられるようで、凹む。 
 
・店舗に大量に仕入れられた大手の同人誌に「冬コミ新刊!!」の売り文句が付くこと
価格はまあいい。コミケで300〜500円で売られている同人誌が流通経路を経て最終的に600〜700円で販売されているのだとすると、もろもろの経費を考えれば良心的な値付けと思う。しかしだ。この大量に仕入れられた同人誌は、大手サークルから直接仕入れた、又は委託されたものと思われる訳だ。とすると、それってもう、コミケは関係ないじゃん。。同じものをコミケで売っているとしても、その現物そのものは、エロマンガを描く作家さんが自費出版してコミケのタイミングに合わせて店に卸してるだけじゃん。そこに「冬コミ新刊!!」のPOPを躍らせるのってどうよ。そこにコミックマーケットとしての楽しみが何かあるのか。コミケ便乗商法じゃないのか。
 
・店舗での非エロ同人誌の扱いが少なすぎること
売場の単位面積あたりの売上を稼ごうとすれば、売れ筋のエロ同人を1冊でも多く並べたいというのもわかるんだけど、そこに「冬コミ」の名前を売り文句に使うんであれば、もうちょっと「冬コミ」がどういうものなのか、知らない人に対して、「コミックマーケット」の全体像を正しく来店客に伝える努力があって然るべきなんじゃないか。
店舗に並ぶ冬コミ新刊はざっと見た感じ300冊ぐらい。これに対して冬コミ全体での参加サークル数は3日間で3万以上とも言われていたと思うんだけど(当日欠席するサークルもあるのでよくわからないが)、地方の店舗にならぶ同人誌の種類は、コミケ全体で取引される全種類の同人誌のうちのおよそ1%ほどしかない、という計算になる。つまり、店舗に並んでいる同人誌の状態から、コミケの全体像をイメージするなんて不可能な訳。
 
コミケについて興味を持って調べる人ならその辺の事情を解るだろうけど、そうじゃない人、かつ、地方のそういう同人誌販売店しか知らない人には、コミケの姿が何がしか歪んだ形で伝わってしまうということを、もっと深刻に受け止めるべきなんじゃないか。 同人誌の転売や委託販売で稼いでいる人たちには、そういう文化を伝える担い手としての責任みたいなものを、もうちょっと考えてもらえないものだろうか。
 
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