揺れるツインテールと怒ったような表情がかわいいね。
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これだけあちこちで話題になっているものを、こんな所で論評するって言うのは、なんというか愚の骨頂とは思うんだが、頭の中が整理つかないので書いておく。
ロボット作家とでも呼びたいような、部品から徹底的に作りこむタイプの作品として思い浮かぶのはこれ
二足歩行ロボット「クロイノ」(左)と女性型ロボット「FT」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080131/292707/?SS=imgview&FD=1154182637
アラレちゃんとかちょびっツ的な路線で突き進んでいるのがこのへん。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090316/pr20090316.html
過去、今までメインストリームで注目を浴びてきたロボットというのは、鉄腕アトムやドラえもん、スターウォーズ的なイメージを払拭しきれていなかった。この手のデザインのルーツはバウハウスにまでさかのぼる事ができる。近未来的なイメージを前面に出してはいるものの、その根底にあるデザイン志向は全て20世紀的な・・・昭和の香りのする・・・ものだった。デザインという観点から言うなら、何十年も昔の漫画や映画の焼き直しというレベルを脱していなかったのだ。
ロボコンの類を日ごろ追いかけているわけじゃないのでよくわからないのではあるけど、「アニメ顔とメカメカしい体の組み合わせ」というデザインは雛[hina]が初めてという訳ではないんだろうとは思う。たとえばこのへん
要するに何が言いたいかというと、「アニメ顔とメカメカしい体」というあからさまにアンバランスな組み合わせは、20世紀的なデザインの概念を超えてきているんじゃないかと。まぁその、「20世紀的なデザインの概念」とは何ぞやみたいなことを説明しろといわれても上手くできないのだけれども、少なくとも鉄腕アトムとかドラえもんとかスターウォーズとかアラレちゃんとか、そういうレベルのデザインよりは、良くも悪くも確かに1段階上がったところに来たな、と感じる。とりあえず昭和の香りはしない。 この「デザイン」という視点での新世代のブレークスルーにまず一票。
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それからもうひとつすばらしいのは、メカがむき出しになっているお陰で、腕や足の構造がよくわかるということ。そして、よくわかるのに、ぱっと見ではどうなっているのか解らないほどうまく作りこまれているということ。
サーボを分解して最適化した形に作り直すというだけでもすごいのだけど、そのデザインがまたすごくて、よく見ると肩と腰の部分は同じ関節モジュールが使われている。この2軸関節モジュールという形で最適化した形状のものが有ると、いろいろな所にスマートに応用できるということを形にして見せたという事がすごい。これはいろいろなロボットに応用可能なので、もしかしたら今後の第4世代とか第5世代とかのロボット専用サーボにおいて、新しい潮流を作っていくきっかけになるかもしれない。
ロボット模型用サーボの第1世代から第3世代までの解説はここを参照。
http://www.kondo-robot.com/html/ProjectHV.html
第1世代:ラジコンの流用、第2世代:機能の最適化、第3世代:パワーの最適化、ときて、じゃぁ次の第4世代とか第5世代のロボット専用サーボがどうなるべきかという事を想像するに、どう考えたって今の四角いサーボの形状のヘボさは目に余る。それがどう進化すべきかという指針として、雛[hina]で採られた「2軸で1つの関節モジュールとして最適化する」という手法はとてもエレガントだ。これはエンジニアの仕事としてとても心惹かれるものがある。
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もうひとつ。ニコ動には初音ミクという歌姫が居る訳だが、初音ミクとはいろいろと対照的なキャラクター設定であるということ。野暮な比較だとは思うけど一応整理しておくと、
初音ミク:歌う
雛[hina]:無言
初音ミク:ソフトウェア。PCの中の存在
雛[hina]:ハードウェア。PCの外の存在
初音ミク:人間もしくはアニメキャラらしい体
雛[hina]:メカメカしい体
初音ミク:青緑の髪
雛[hina]:黒髪
初音ミク:青緑の目
雛[hina]:赤黒い目
初音ミク:基本は笑顔
雛[hina]:少し怒ったような顔
共通点はツインテールぐらいか。ニコニコ技術部が好んで使うはちゅねの方が比較対照としては妥当かもしれないがあえて本家と。
もっとも、雛[hina]が無言というのがこの先どうなるかは解らない。声優やUTAUの声があてられる可能性はある。そのときはそれはそれで、今とはちょっと違うキャラクターとして認識されるような気はする。
この作者さんがこの活動を続けてくれるのか、あるいは雛[hina]を真似するような作品・作者が後に続いてくれるのかどうか、PIXIVなどでの2次創作が盛り上がるかどうかというのも気になるところ。その下地はかなり出来てきていると思う。
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2速歩行ロボットについて、結局子供のおもちゃじゃないか、という閉塞感はあると思う。それが、こういう形で映像作品の主役として活躍できる可能性が提示されたというのも大きい。
CGならたくさんあった。ストップモーションの映像作品もあった。けど、2速歩行できる機能を持ったロボットが自立的に2速歩行する姿をそのまま映像作品の持ち味として前面に出して成功した例というのはほとんど初めてかもしれない。これがこのままで終わる訳が無い。これからが楽しみだ。