chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

デフレとかインフレの事

 
改めて頭の中を整理。
 
世の中を流通しているお金の総量が増えないのに、世の中を流通する物やサービスの絶対量がどんどん増えて行ったら、ある単位あたりの物、もしくはサービスの平均価格というのは、下がらざるをえないという理屈になる。
 
世の中を流通する物やサービスの絶対量というのは、生産性の向上に伴って増える。その増加分に対して、見合った報酬を支払おうとするなら、世の中を流通するお金の絶対量というのも、それとリンクして増えないことには、つじつまが合わない。
 
世の中を流通する物やサービスの増加量を上回って貨幣を乱発したらジンバブエ状態になる。
世の中を流通する物やサービスの増加量より貨幣の増加量が下回ったらデフレにならざるをえない・・・たぶん。
 
で、解らないのが、貨幣の絶対量というのがどのようにして決められているのか?ということ。無学な自分には全く想像もつかない。
 
昔、金本位制の時は、人為的に貨幣の絶対量をコントロールすることは難しかった。金の産出量が限られているから。金本位制のもとでは、貨幣の流通量というのは、金の産出量以上には増えない。よく考えてみると、「金の産出量」と、「世の中を流通する物やサービスの増加量」には何の関係もないはずで、これを無理やりリンクさせようとすると色々な歪が生じそうだ。もし、みんなが頑張って「世の中を流通する物やサービスの絶対量を飛躍的に増大させる」ということが出来たとしても、それに比例して「金の産出量を飛躍的に増大させる」ということは物理的に不可能なのだから。したがって、金本位制のもとでは、それこそ構造的に深刻なデフレが発生することが避けられないと思われる。つまり金本位制をやめたのは正解。
 
貨幣の流通量を人為的にコントロールでき、なおかつ「世の中を流通する物やサービスの絶対量」というものを計測する手段があるのなら、それに合わせて貨幣の流通量を増減させれば物価を安定させることができる・・・のか?
 
問題は、「世の中を流通する物やサービスの絶対量」というものを計測する単位というのが、やっぱりお金、という矛盾。
伝統的に物の値段が付いているものはまだいい。ソフトウエアのような値段のつけにくいものの「経済的価値」を、お金以外の方法でどのように計測するか。これは難しいね。
 
たとえば音楽ファイル。1曲のデータ1つが100円だったとしよう。これはデータだから、簡単にコピーすることができる。コピーしまくって1つのデータを100人に配布することも簡単にできる。このとき、社会全体としては100円×100=10000円相当の富が生産された、ということもできるはず。いとも簡単に100円だったものを10000円相当に化けさせることができるのだ。しかし、社会全体の現金はそんな簡単には増えない。その結果、どういう事になるかというと、もともと1曲100円だったデータの価値が1円になってしまったということにして、100人にコピーしてもやっぱり100円、というつじつまあわせをするしかない。・・・超デフレ状況。 音楽産業や電子出版なんかは、この想像を絶する超デフレの被害者なのかもしれない。
 
一方、市場で独占的な立場を築いて、簡単にコピーできるソフトに数万円の値段をつけて世界中に売りまくって巨万の富を得たのがビル・ゲイツ。それを生産性の向上と捉えるなら、何も悪くない訳だが、そこで疑問は、Microsoftが自社のソフトをコピーしまくるのと同じ増加量で、世の中の貨幣の流通量が増えただろうか?ということ。もし増えていないのならば、マイクロソフトが集めた現金のしわ寄せは、誰かが負っていたことになる。ここで攻められるべきはマイクロソフトではなく、貨幣の流通量を管理するべき立場にある人達のはずなのだが・・・。
 
 
と考えると、日銀がもっと現金を刷ってばらまけよ、現金が足りてないよ、っていう主張にも理があるように見えてくる。お金を印刷するところまでは簡単。問題は、印刷したお金をどのように合理的に流通させていくのか。
 
現実的には、やっぱり日銀による国債引受け解禁、っていう話になるのかなぁ。政府の借金を、増刷したお金でチャラにしちゃうわけ。そうすると、いままで国債を買っていた銀行が国債を買えなくなって投資先に困るので、民間への貸出が増えるだろう。これはすなわち民間企業でバブルが起きやい状況を有む。バブルの弊害は色々言われるけど、基本的にバブルに深く関わるのはお金持ちの人たちなので、低所得者が直撃を受けるという話にはならなさそうにみえる。
 
日銀による国債買取りが引き金になって、インフレが生じるとする場合、まず最初に銀行の融資先や投資家の投資先が変わる、という形で影響が出てくると思われる。これ自体はそんなに問題は無いように見える。問題は為替や金利への影響。下手をすると円の信用が失墜して極端な円安になり、輸入資源が国内で高騰するという事態を招きうる。これは低所得者の生活に直撃するから避けなくてはならない。金利の上昇の弊害は言わずもがな。逆に言えば、円の信用失墜にならない範囲であれば大丈夫ということになる。もっとも、信用なんて崩れるときはあっという間だから、そこをみんなが警戒して、デフレになっているということなのかな。 どのみち政府が財政破綻して信用失墜するのは時間の問題のように見えるのだが。

 
貨幣の流通量云々という話とは別に、近い将来、原油などの資源の高騰によるコストプッシュインフレというのがやってくる。いつかはわからないけど、来ることは間違いない。このコストプッシュインフレの怖いのは、真っ先に低所得者の生活を脅かすということ。バイオ燃料とかの話もあるから、原油が上がれば穀物の値段も上がり、食費が上がり、光熱費も上がり、交通費も上がり・・・と、普通に生活していく上で削れない部分の値上がりが最初に起こる。そして低所得者をさらに窮地に追い込む。これは怖い。いざ、そのときになったら、きっとみんな「デフレ時代は良かったなぁ」なんて言い出すに違いない。
 
 
2/19追記
参考 
デフレは確かに問題だが 日銀は打ち出の小槌じゃないのでは
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20100218/defra
 
打ち出の小槌たりうる「ソフトウエア」というものが生まれてしまった時代に、経済学をどう再構築するのか。そういう議論をもうちょっと色々きいてみたい。
 
3/5追記
参考
08 うちの妻は「元手ナシにお札を刷る」に納得できません
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100302/213117/
 
ここでもやっぱり、中央銀行が貨幣の量をコントロールする、という話になっとるな。