chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

"Chaining Intention【PV】"を「オサレPV」の一言で片付けるのは許さん

 
ネタ元:
東浩紀とニコニコ生編集! 〜思想地図bis編集会議×新批評研究会〜 3/3
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10980853
坂上秋成さんの発表。11:13頃のプレゼン資料から抜粋

Lat式とホメ春香の決定的な違い
表層(イメージ)と深層(システム)という2層構造で考えた場合・・・
 
Lat式:表層の世界だけ見せればよい
   (=オサレPVがあればそれでオッケー)
 
ホメ春香:表層を見せることが必然的に深層
   を可視化することに繋がる(ネタと
   してキャラクターを機能させるために
   技術的領域を見せる必要がある)


ホメ春香についての説明は、そんなもんだと思う。話の最後のまとめかたも、そういうまとめ方もアリだと思う。
10:30あたり

ちょっと一部に怒られそうなんですけど

うん。怒った。
"【第4回 MMD杯本選】Chaining Intention【PV】"を「オサレPV」の一言で片付けるのは許さんw。


 
ニコ動では動画にコメントを付けることが出来るために、ある特定の1つの動画について深く語るということがあまり行われてないし、自分もしてきてないので、こういう見方をする人が居ること自体は責められないんだけど、論評するなら論評するで、もうちょっとちゃんと見てくれないと、結論まで軽いものになっちゃうぞ。"【第4回 MMD杯本選】Chaining Intention【PV】"がMMD杯で高い評価を得たのは、単にオシャレだから、じゃないんだ。これは自信をもって言える。
 
(1)動きのオリジナリティ
このPVを見てまず何に驚愕したかというと、MMDで制作したと思われる部分において、MMD作品に多く見られがちな、ぎこちなさがないという事。しかしよく見れば「ぎこちなさ」が全く無いわけではなく、機械的な動きをしているカットもある。人間離れした動きをしているカットもある。。いわばある種のパントマイムのような・・・大道芸で、人間がロボットっぽい動きの真似をする芸があるじゃないですか。あの不思議な感じをちょっと連想させるような感じ。それまで欠点と見られがちだった機械っぽさが、ここでは表現上の空気感を生む要素として、とても自然な形で取り込まれて、見る人を惹きつける長所に生まれ変わっているんです。これ、色々考えるんだけど、似た動きをするものをなかなか思いつかないんですよ。例えば従来のアニメや映画やゲームの中に、こんな動きをするキャラクターが今まで居たか? 
 
(2)「新しい動き」によって「新しい世界観」を生み出すことに成功している。
(1)に成功した結果、「人間でも無く、かといって古典的なロボットでもない」という、初音ミクのイメージを非常に高度な次元で可視化することに成功しているんですね。造形としての完成度もさることながら、「新しい動き」によって新しい空気感・世界観を生み出すことに成功しているという事、これがすごい。
 
この「新しい動きによって新しい世界観を生み出している」っていう事に着目するならば、実はほめ春香とも共通点がある事にも気がつくわけです。ほめ春香も、ある意味、「新しい動きによって新しい世界観を生み出している」と言えるでしょう。決定的な違いは、一方では気持ち悪さを徹底的に排除し、一方は気持ち悪さを全面に押し出したという事。ベクトルが180度違う。で、ここが重要なんですが、これはいわば表と裏のような関係と見ることもでき、どちらか片方だけあれば良いというものではないと思うんです。・・・しかしそれを踏まえた上で、技巧的にどちらが難しいかといえば、これはもう圧倒的に前者であることは疑いようが無く、だから、"【第4回 MMD杯本選】Chaining Intention【PV】"は、MMD動画の制作者を含めた幅広い支持を得ることが出来た。MMDを応援する人達みんなにとって誇りが持てる作品だと思うんです。納得のMMD杯受賞作品なんですよ。 
 
これを「オサレPV」の一言で片付けてしまうなんていうのは、それはダメっすよ。