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経済論戦勝ったのはどっちだ!森永卓郎vs.池田信夫 激突120分日本経済は破綻する?---現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2114
根本的な解決は、成長率を上げることしかない。もはや日銀の金融政策でどうこうできるような状態じゃないんですよ、いまの日本は。
私は経済理論というものが根本的に何かオカシイんじゃないかと疑っているが、そんな事言い出すとキリがないので、この話の文脈で、「成長率を上げる」というのが具体的にどういう事なのか考えてみた。
そもそも論で行くと、もし、全ての人が何も生産せず、何も消費しなかったら、そこに経済は存在しない。誰かが何かを生産し、それを別の誰かが消費するから、そこに経済というものが出来る。だから、経済成長するとは、ぶっちゃけて言えば、生産量を増やし、消費量を増やすこと、であると解釈できる。
今の日本は生産過剰で、消費が伸び悩んでいることがボトルネックになっており、成長率が伸び悩んでいる、と言われる。消費が伸びないことが原因だから、企業向けの設備投資も伸びないし、したがって金融緩和も効果がない、と。
この話の流れで素直に考えるなら、とりあえず当面は「日本全体が経済破綻する」というような心配はない、と予想できる。なぜなら、生産に余剰能力があるからだ。何かアクシデントが起こって一部の生産が停滞するようなことがあっても、それが余剰能力の範囲内であれば、消費者に大きな影響が出ることを速やかに回避することが出来るはずだ。生産に余剰能力があるということは、むしろ経済の安定のために望ましい事のはずだ。
生産と消費、そしてそれをつなぐ流通とお金の流れがスムーズでありさえすれば、世の中は回り、普通に生活できる。理屈では、このうちどれか1つがまるごと信用を失墜させるような事が起こったら「経済破綻」状態になりえる。よく引き合いに出される「スーパーインフレ」は、お金の信用が失墜した状態だな。これ以外にも、たとえば国民全員が泥棒になったとか、日本中の生産物が全部偽物だったとかいう事態になれば経済破綻状態に成り得るが、言うまでもなく、日本ではそんな心配は無用。
歴史的に見て、この経済循環の中で一番リスクが高いのは「お金の信用」。お金の信用が何に担保されているかといえば、やっぱりスタートは国家権力なんだよな。だから、国家権力の腐敗or失墜と、お金の信用失墜はセットになりやすい。
しかし今の日本では、政府の評判がこれだけ下がっているにも関わらず、それは国家権力の信用失墜と必ずしもイコールでは無いし、今の所はお金の信用問題になる気配もない。何だかんだ言われながらも日銀が押さえるところは押さえているし、民間企業にも消費者にも信用があるからだ。
・・・という事を踏まえて、政府の累積債務はどうやって解消すべきなんだろう。
実現可能性を別として、理屈として取り得る選択肢は:
(1)税率をn倍にする。
(2)税率は今のままで、納税してくれる労働者や法人数をn倍にして税収を増やす。
(3)支出を1/nにする。行政に関わる人員、企業や社会保障受給者の人数を1/nにする。
(4)支出を1/nにする。行政に関わる人員、企業や社会保障受給者への支給額を1/nにする。
(5)債務を1/nにする。債権放棄してもらう。
・(1)は解りやすいが、解りやすいが故に反対者も多い。
・冒頭の記事での池田先生の主張は(2)に近いんだろうな。経済学者として、ごもっともな論だと思う。
・ヒトラーみたいな独裁者なら、(3)も可能かもしれない。文句あるやつは友愛。
・(4)は? いわばスーパーデフレ状態。これはちょっと思考実験してみると面白いかも。
・(5)は、いわゆる踏み倒しだが、法律によって一方的に税金を没収される(1)と、実は五十歩百歩である。
続く