chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

それでも経済学者は原発を推進せざるをえない

 
印象論だが、科学者は原発には慎重な意見が多い。一方、この期に及んでも原発推進発言をしている人には、経済学者や金融系の人が多いように感じる。
 
ex.原発を擁護する --- 金融日記
 
経済学者や金融系の人が原発に積極的なのには理由がある。一言でいえば、彼らは「複利」で物事を考える人種だという事だ。たとえば、経済成長であれば、GDPが「何パーセント」増えたのか/減ったのか、という事に着目する。ここで注目しなくてはならないのは、同じ2%の経済成長でも、10年前の2%と、今年の2%と、10年後の2%では、それぞれの絶対額は大きく異なってくるということだ。これが複利の効果だ。
 
前年比何パーセント、という尺度で物事を測るというのは、その対象がお金だけである分には、そんなに大きな問題はない。お金というのは人工的に作られたものだから、必要に応じていくらでも桁を増やすことができる。
 
しかし、食糧生産やエネルギー問題はそういう訳にはいかない。経済成長は、これまでの所、エネルギー消費の増加を伴ってきた。経済成長とは、ある意味、人類がエネルギーを上手に利用できるようになる事と等価だったのかもしれない。ところが、石油や石炭やガスの生産は、近い将来、経済成長のように「前年比何パーセント」という一定の率で生産量を増やし続けることが不可能な状況になると予測される。
 
このことから、将来、エネルギー問題がボトルネックになってしまって、経済成長が停滞したりマイナスに落ち込むような状況が来るのではないか、と容易に予想することができる。今まで経済成長とエネルギー消費が連動して増大してきたことの裏返しの状況である。
 
この問題を避け、ずっと先の将来まで、より長期にわたって経済成長を続けるためには、新しいエネルギー源を開発することが有効と考えられてきた。その切り札が原子力だった。原子力が実用になれば、その途方もなく莫大な量のエネルギーでもって、化石燃料に限界が来てもなお、経済成長を続けられる可能性が生まれる。いずれ、それも限界が来るだろうが、原子力が無い状態よりは、より高いレベルに到達できる。それは好ましいことだ。・・・と経済学者は考えるのだ。
 
したがって、経済学者にとっては「原子力発電がダメなら火力発電にすればいいじゃない」「火力発電がだめなら太陽電池風力発電地熱発電があるじゃない」という問題ではない。エネルギー生産の成長を経済成長が追い抜いてしまう状況が来る事こそが、問題の本質なのであり、それは経済成長が複利的に増大し続けるものである限り避けられない。したがって「将来、ありとあらゆるエネルギーを全力投球で有効活用しなければならない状況が来る」と見ているのだ。だからこの期に及んでも、あえて原発を推進せざるをえないのだ。
 
たとえば今、世界人口は約70億人といわれている。私が子供のころは40億人と言われていた。このペースで人口増加が続けば、30〜40年後には100億人を超えると予想される。ある人は100億人ぐらいで均衡状態になってその後人口減に転じるのではないか、などと予測している。100億人かどうかは解らないがそれでも、あるレベルの人口を超えてしまうと、食糧問題やエネルギー問題が非常に深刻な状況になり、人口増加がストップせざるをえないだろうと予想することは合理的だ。・・・すなわちそれは、世界的な飢餓や戦争が避けられない状況が来ることを意味する。その悲惨さは今回の大震災の比ではないかもしれない。
 
もし、世界中にばんばん原発を作れば、そのエネルギーのお陰で、少しばかり危機を先延ばしにして、地球上でより多くの人口を支えられるようになるかもしれない。たとえば、原発の莫大な電力でもって海水を真水に変える巨大なプラントを作り、砂漠を農地化して食糧生産して飢餓を救う、などという話にも可能性が出てくる。飢餓で飢えて死ぬかもしれない状況の人々にとっては、多少の放射能汚染さえ我慢すれば食糧を得る方法があるのならば、Bestの選択ではないにせよ、後者を選ばざるを得ないだろう。
 
重要なのは、そういう地球規模の危機的な状況がもう30〜40年後に迫っているという事だ。それが視野に入っている人にとっては、ここで世界中が安易に原発廃止に傾いてしまうと、将来のより大きな危機を速めてしまう、と即座に理解するのだ。
 
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・・・と、まぁ、そこまでは私も理解するのだ。だが、私は経済成長が必ずしも善だとは思っていないし、原発で平和を少しばかり長続きさせることが出来たとしても、それはいつかは破綻するのであり、五十歩百歩だろう、と思っている。
それよりは、「前年比何パーセント」という経済成長に重きを置くのをやめ、違う価値観で社会が動く時代を築いていく方向に、舵を切りなおす事の方が、より本質的に重要なのではないかと思っている。「サスティナビリティ」とかいうやつだね。
 
参考:
なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち〜
http://video.google.com/videoplay?docid=2967840354475600719#
 
5/3追記
'88年 朝まで生テレビ!「原発」動画15本まとめ…ウソつきは誰だ?
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65726196.html