chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

書籍スキャンの話

 
ネタ元:
スキャン代行業者提訴で作家7名はかく語りき
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1112/21/news044.html
 
残念な話だ。この人達は、まず実際に自炊業者を利用している人たちの話を聴いて、実態調査をきちんとやるべきだと思う。
 
まず、こういうサービスを利用している人というのは、相当量の本を買ってきた人のはずだ。100冊やそこらしか本を持ってないような人がわざわざこんなサービスを利用したりはしない。日本の狭い住宅事情で、本をこれ以上収納する場所が無くて困るほど大量の本を買っている人たちが利用するサービスなのだ。その大量の本棚のスペースを開けるために電子化が必要になっているのだ。電子化で空いた本棚のスペースには、また新しい本が購入されて収められることだろう。それは著作者や出版社にも利益になる話なのだ。そういう可能性を全く考慮せずに、こういう訴えを起こされるのは、本当に残念としか言いようがない。
 
例えば私だと、40平米ぐらいの賃貸を月5万ぐらいで借りている。本棚が占有している面積は、引越しの度に整理して減らしているけど、今合計すると、ざっと4平米ぐらい。ということは、「ただ本を保管する」というだけのために、俺は家賃の1/10 =5000円ぐらいを毎月支払っているに等しい状況な訳。クソ田舎でこれなんだから、都心に住むような人だと、もっと酷い事になるだろう。
 
これを電子化すれば、全部の本をHDD1個に収める事ができ、本を買う時、「本を入れるスペースがない・・・また部屋が散らかる、狭くなる・・・」などというような悩みから解放される。それを著作権者や出版社に禁止される筋合いがあるか? あるいは私が本の保管に毎月5000円を支払うのをやめて、HDD1個に収められるように加工して、安くて狭い家賃の部屋に引っ越したいと思った時、それを著作権者や出版社に禁止される筋合いがあるか? その電子化のための現実的な手段として、自炊業者にいくらかの料金を払ってそれをやってもらう事には、経済的な合理性があるんだ。問題にしている対象は代行業者であり私的複製は問題ないと言うのかもしれないが、現実的な手段を奪っておいてそれは無いだろう。電子化で利便性が向上するにあたって、追加の料金を著作者に払えというなら払いますよ。そうでなくたって、「ただ本を保管する」だけにだって毎月お金がかかっているんだから。 大きな家に住んでる金持ちには無視出来るような金額かもしれないけどね。
 
本をスキャンするという行為が、何らかの権利を侵害するというのなら、それに対する利用料金を提示してくれれば済む話のはずだ。もともと本は商品なんだから。禁止とか差し止めとかいうのは建設的じゃない。