数年前に初めて聞いた言葉だったが、上手いこと言うもんだなぁ。としみじみ。
イノベーションのジレンマ --- wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
今日は１０年前のパソコンの修理なんていう、パッとしない仕事をしていた。１０年前のPCを触っていて、その頃の事を少し思い出した。Windows2000だ。当時はそれでも、それ以前と比べれば随分安定して、まともなOSになったなぁ、とか思われていた。
で、３００円ぐらいのちょっとした部品をPCショップに買いに行った。小規模なPCショップは随分前に閉店してしまって、今でも残っているのは、それなりの規模のある体力のある所だけだ。それでも、今はもう、いつ行っても客より店員の方が多いような有様で、「ジリ貧」としか形容の仕様が無い。
パソコンショップが繁盛していた頃の客というのは、今はスマホの課金ゲームとかに金を使っているのだねきっと。
部品屋さんがジリ貧になっていく様子には既視感がある。昔、３０年以上前、初歩のラジオとか、ラジオの製作とかいう雑誌があって、電子部品を売る店があり、そこには電子工作の部品を買い求める人達がいて、繁盛していた。秋葉原が有名だけれども、地方都市にも１件や２件は、そういう、電子部品を売る店があって、地方の人でもちょっと電車代を出せば、そういうお店へ行って、電子部品を買ったり取り寄せたりしてもらうことができた。
それが、パソコンがブームになると、そっちの方に客を取られて、地方の電子部品屋さんはどんどん閉店していった。アマチュア無線のお店として残った所もあったが、これも携帯電話の普及でトドメを刺された。今はもう、地方の電子部品屋さんは、特別になにか特色のあるような店以外は、見る影もない。
このままだと、地方のパソコン部品のお店も、確実に絶滅してしまうだろう。実際、既にamazonで買うほうが安いし。amazonの欠点は、現物を手にとって見られないということで、見た目とか寸法とか、細かい作りの良し悪しを気にする場合は今でも店舗で品物を選ぶ。が、定番のメーカーが定まり、品質が定まってくれば、やがてそれも不要になり、いよいよ実店舗の存在意義が問われることになる。暇そうにしてる店員が居るなら、「この部品はプロ向けです。不具合があってもサポートしません」なんてPOPを丁寧に商品につけるんじゃなくて、他にやることあるだろと思うんだが、でもまぁ、そんな所で良心を発揮してみたところで、時代の流れには焼け石に水なのかね。
真空管時代のラジオというのはとても大きくて重くて、持ち運べるようなものではなかったが、代わりに、少々手先の器用な人ならば、部品を買い集めてラジオを組み立てることが出来た。やがて、ラジオは小型化して、１０円玉ぐらいのサイズになったが、アマチュアがラジオを作るための部品なんていうのは全くニッチな需要になってしまった。同じように、今のスマホなら、一昔前のパソコン以上のことができるようになった訳だが、同時に、パソコンを自分で組み立てる、なんていうのは、どんどんニッチな需要に追いやられていくのだろう。
ただまぁ、昔ラジオを組み立てていた人種というのが、その後の時代ではパソコンを組み立てていた、というだけで、「あれぐらいのサイズのものを、ちょっと自分で組みたたてみたい」というニーズ自体は、普遍的にいつの時代にもあるものなのかも、とも思う。自作PCの次は、何が来るんだろうな。
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国内の家電メーカーがヤバイというのも、「イノベーションのジレンマ」に当てはまる部分が大きい。あんな大きな企業でも、そういう罠に陥るわけだ。見方によっては、日本という国全体が、「イノベーションのジレンマ」に陥って、新興国に負けることだってありえる。というか、今まさに、その状況に腰辺りまで浸かってしまっていると見るべきなんだろう。ブラウン管を作っていた人に、明日から液晶パネル作れと言っても無理だった。イノベーションの負け組が、土壇場で逆転ホームランを打つなんていうことは絶望的に難しい。
もし、世界中の経済が均衡化したら、世界全体が「イノベーションのジレンマ」に陥る、ってありえるんだろか。地球外と商売するのでない限り、それは無いか。でもまぁ、もし仮に、世界中の人々の生活水準が十分に上がったなら、新たなイノベーションを求めるモチベーションが低下する、ということはありえるかもな。
もっとも、そんな事になる前に、資源不足で第３次世界大戦とか起こるんだろうけどな。
