chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

読書

 
風立ちぬのネタ本となっている、堀越二郎の本、Amazonでぽちったのが来たので読んだ。3時間ぐらいで読めた。
アニメで主に描かれた9試の話はあんまりなくて、本の表題通りゼロ戦の話の本だ。話の内容は、今までTVのドキュメンタリー番組などで聞いたような内容が多い。というか、この本をベースに制作されたドキュメンタリー番組が沢山あった、と言うべきなんだろう。戦時中の話については、ゼロ戦が最初素晴らしい戦果を挙げた事をかなりの紙面を使って事細かに書いている半面、戦況が悪くなってからの説明は最小限である。戦後25年経って書くにも、まだまだ客観的に直視できるような心境ではなかったのだろうと思った。物理的に見込みは無かったとは言え、開戦時、「まずい」と思ったのに、氏を含め誰も根本的な対策行動を起こさなかった事は反省点の一つのはずだ。一方アメリカは、ゼロ戦の登場後、直ちにゼロ戦に全力で対抗する体制を取って臨んだ。この差だよなぁ。
 
純粋に読み物としての出来は良いと思う。こういう作品をあえて今取り扱う事には、今どき売れ筋のラノベ等に対する静かな批判の意図も感じられる気がする。ジブリアニメ「風立ちぬ」との関係でいえば、この本がゼロ戦について非常に詳しく書かれているがゆえに、アニメではそれを説明するような描写はばっさりカットしたのだろう。堀辰夫の小説をモチーフにした描写にも、そういう所がある気がする。文字を読んで想像する事の大切さを理解するが故に、それの障害になりかねない安易なアニメ描写は極力避け、監督オリジナルの空想部分を詳しく描く事に集中した。そういう意味で、このアニメは、堀越二郎と堀辰夫の本を読む事まで含めて1つの作品と捉えることもできそうだ。アニメを見ただけでは、まだ全体の1/3を鑑賞したに過ぎないのではないか。実はそういうメディアミックス作品なのかもしれない。