chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

80〜90年代のオーディオは、何がダメだったか

 
ネタ元:
今、世界で「カセットブーム」が来ている理由 音質でも便利さでもない魅力
https://www.buzzfeed.com/harunayamazaki/cassette-tape-myway?utm_term=.dynoXYqpz#.mkrznPeQL
 
これな。
 
この時代を生きてきて、一度はその系統の企業に就職した身としての反省点
 
そもそも、オーディオとは何だったのか?
真空管時代に、既にレコードとラジオが聴けるステレオセットは有ったんだよな。

それが、トランジスタ時代になって、小型化できるようになって、ついでにカセットが出てきて、出来上がったのがラジカセ。

2番目に出てくる大型ステレオとミニコンポの対比が時代の流れをよくあらわしている。
大型コンポは真空管でも作れるサイズ。ミニコンポはトランジスタじゃないと無理。

で、当初の高級ラジカセはミニコンポをさらに小型に安くした位置づけで、ステレオセットのデザインの流れを汲んでいた。
大型ステレオをぎゅっと機能的に小型に詰め込んだ事で、ラジカセが受けた訳だ。盆栽とか、ミニチュアセットみたいなものだ。そういうの好きな人多いでしょ。
 
ただ、写真ではカッコ良く見えても、実態はプラスチックに銀色の表面処理をしたようなものばかりで、質感は安っぽく、使っているうちにハゲてみっともないものになった。
それならばと、銀色の表面処理をやめて、最初から黒一色のラジカセやステレオが増えていった。
 
でもなぁ、あの黒づくめのステレオやラジカセが似合う部屋なんて、無いでしょ。日本の住環境をまったく無視したデザイン。そんなものが生活に根付くわけなかったんだよ。
あの妙なデザインの流れ、店頭ではカッコよく見えても、持って帰ると「アレ?」みたいな、そんなのばっかり。
 
SFアニメの影響もあったと思う。宇宙戦艦ヤマトの艦橋や銀河鉄道999の自動制御部みたいな、なんだかよくわからないごちゃごちゃした制御卓、ああいうのを連想させるデザインが受けた。機能的にはたいしたことしてないのにね。
 
つまるところ、メーカーが、店頭で売りさばく事にばかり熱心で、売った後のユーザーの反応や、どのように活用されているのか、どのように愛されているのか、というようなことに、無関心すぎたんだよな。
文化を育てているという自覚に欠けてた。結果、奇妙なオーディオマニアやラジカセマニアだけが残った。
それでは商売にならなくなり、じり貧になって消滅。不幸な話だ。
 
以前、書いた、かつての電気オルガン、電子オルガンの中で、なぜハモンドオルガンだけが今でも愛され使い続けられるか、っていう話に相当するところの、時代を超えて愛されるオーディオ機器ってのが、国産のメーカーには無かったんだな。メーカーもユーザーも、誰も本物を知らず、自分たちが次の世代に何を残しているのか、ということに無自覚すぎた。