chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

消費性

 
「生産性」という言葉はよく聞くが、「消費性」という言葉は一般的では無い。
 
理屈から言えば、長期的には生産と消費はバランスする。では、生産性と消費性について、どちらか片方について語りさえすれば、もう一方についても同じ事が言える・・・だろうか?
 
工場で効率よく生産を行い、世界最高の「生産性」を実現したとしても、その結果出来あがったものが全く売れなかったなら、「消費性」はゼロである。
あるいは、某アニメのように、非常に低予算で作ったアニメであっても、大ヒットしたなら、消費性が高いという事ができ、結果的に生産性も高かった、と言える状態になる。
 
要するに、生産性とか消費性とかいうものは、物事がある程度進んで、時間が経ってみないと、本当のところはよくわからないという事なのではないだろうか。
 
例えば電子機器に、年々色々な機能が追加されて高性能化したとする。この行為の生産性はどう考えれば良いだろうか。電子機器が高性能化して、小難しくなればなるほど、確かに技術的には高度化した。進化した。しかし、それをうまく使いこなせる人は減ってしまう。つまり消費性が下がる。 操作を徹底的に簡単にして、誰でも使えるものにしたならば、消費性が上がる。世の中から貧困を減らすために、つまり経済的に、必要とされているのはどちらだろうか。
 
例えば新聞社や出版社。新聞社や出版社の中で働く人々の生産性が年々下がっている訳ではない。むしろ上がっているだろう。でも業界全体としての書籍や新聞の発行部数は右肩下がりだ。なぜか。消費性が向上していない。スマホ等と比べた時に、相対的な消費性が下がっているのだ。
 
iPhoneはどうだったか。面倒な切削工程が必要な、非効率な部品製造の為に、数千台もの切削加工機を導入するなんて、生産性至上主義の日本メーカーには信じられない話だった。しかし成功した。消費性がそれ以上に高かったのだ。
 
多くの「生産性」に関する議論は、「消費性」について何も考えていない。それの意図するところは、本当の意味での生産性の向上ではなく、労働者を都合よく働かせるための口実だったんじゃないか、という気がしてくる。