chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

USB-IF認証の形骸化が酷い。

 
USB-IF認証とは。
http://mcn.oops.jp/wiki/index.php?USB%2F%C7%A7%BE%DA%A5%D7%A5%ED%A5%B0%A5%E9%A5%E0

USB-IF (USB Implemnters Forum) では、USB 普及のための一環として USB 機器を開発・販売する USB-IF メンバーに対して Compliance Program を受けることが出来ます。Compliance Program は、USB 機器に対して仕様に合致しているか、様々なテストを行います。このテストに合格すると USB-IF より USB 規格に準拠していると認められます。合格した場合、Integrators List に加えられ、USB 規格準拠の証として USB ロゴを製品に付ける権利が得られます。

 
10年ぐらい前は、ちゃんとしたメーカー製であれば、だいたいUSB-IF認証に通っていて、USB-IF認証ロゴが付いていたように思う。
最近、USBがらみのトラブルが身の周りで散見されるようになって、そういえばUSB-IF認証のロゴが付いてないなと思って、今の状況について調べた。
 
すると、ここ最近発売されたUSB機器で、USB-IF認証を通している商品というのは非常に稀である事が解った。
USB-IF認証のロゴが付いているのは、10年以上前に開発されて、それ以降ずっとモデルチェンジされずに売られているような、枯れた商品ばかりだ。
 
USB-IFの認証に通っている商品は、次のサイトで検索できる。
http://www.usb.org/kcompliance/view
よく聞くメーカーについて、ざっと調べた結果:
 
PC周辺機器メーカー:
I-O Data Device, Inc. 5製品 2013年までにすべて生産中止
 
Elecom Co., Ltd. 95製品の登録があるが89製品はケーブル
         電子製品はすべて販売終了
 
BUFFALO INC. 80製品の登録があるが62製品はケーブル
 ケーブル以外の現行機種 BSCR20TU3 のみ!
 
サンワサプライ 登録製品無し。0。
 
Green House Co., Ltd. 15製品 現行製品無し
 
ナカバヤシ 登録製品無し。0。
ロアス 登録製品無し。0。
センチュリー 登録製品無し。0。
 
Transcend Information, Inc. 8製品 USB3.1になって真面目にやりだした
 現行製品 SJ25M3 JetFlash700 JetFlash730 JetFlash760 TS-RDF5 TS-RDF8 StoreJet35T3
 
大手メーカー:
Microsoft Corporation 144製品 マウスやキーボード等。現行機種も多数。
 さすがにマイクロソフトは真面目にやってる。ほとんどマウスとキーボードだけど。
 
アップル 登録製品無し。0。
なんと、天下のアップルコンピュータは、USB-IF認証には一切協力していないのだ。Appleは、自社の純正品しか動作保証しないという原則で商売しているので、USB-IFの理念とは折り合わないのだな。しかし一方では、新しいUSB規格にあれこれ口をだしていて、それってひどくないですか!? USBの理念を賛同も理解もしない人たちが口出ししてそれが採用されるようになっちゃったら、そりゃ今までのUSBがめちゃくちゃになる訳だよ。USB Type-C、おまえのことだ。
 
Intel Corporation 55製品 チップセットなどが登録されている。
 
NEC Corporation 244製品。
もともと、USB-IFの音頭取ってた会社の1つなのでな。10年ぐらい前まで、ノートパソコン本体が登録されている。
 
Toshiba Corporation 368製品
こちらもやはり、10年ぐらい前までは普通に登録してたっぽい。
 
Panasonic Corporation 306製品 
 
Sony Corporation 538製品 USB3.1製品に絞ると4製品しか登録が無い
 
Fujitsu Ltd. 166製品
 
HP Inc.  686製品 
 
Dell Inc. 218製品 このへんがDELLとHPの差か。
 
Lenovo 75製品
IBM 登録無し。Lenovoに移行した?
 
いわゆる「一流企業」に分類されるメーカーはそれなりに対応しているが、けっこう温度差がある様子が解る。
 
マザーボードメーカー:
ASUSTek Computer Inc. 50製品 特に力を入れている商品のみ登録している模様。
           マザーボードを買うなら ASUS にしませう。
 
GIGABYTE なんと登録製品無し。0。
SUPERMICRO 登録製品無し。0。
ASRock 登録製品無し。0。
MSI 登録製品無し。0。
BIOSTAR 登録製品無し。0。
DFI 登録製品無し。0。
 
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USB-IF認証が軽んじられるようになってしまった要因として考えられる事:
 
アップルコンピュータが不参加
 →「アップルが認証取ってないんなら、べつに自分も取る必要ないんじゃない?」となったメーカーが多数派になってしまった可能性
 
Windows8以降で、それ以前に USB-IF認証を取っていたにもかかわらず、デバイスドライバの問題で動かなくなった周辺機器がある。
 →Windows8の発売時期と、USB-IF認証が軽んじられ始めた時期が重なっている。デバイスドライバとOSの問題のせいで、USB-IF認証の意味なくね?という雰囲気に拍車がかかったと思われる。
 
チップセットでUSB-IF認証を取っているICの出現
 →チップセットメーカーの推奨回路図のまんま商品化すれば、最終製品として認証を取って無くても、事実上問題が無い。
 
ここまではまぁ解る。では、なぜ、最近USBのトラブルが多いのか。USB-IF認証を真面目に取らなくなっても、それ以前に取っていたメーカーにはノウハウがあるので、なんとかなっていた。それが、10年以上経過して、現場のエンジニアが世代がわりしてしまい、ノウハウが継承されなくなったのではないか。
 
また、チップセットでUSB-IF認証を取っても、最終製品で表示されないのであれば、チップセットとしてUSB-IFを認証を取る必要すらないのではないか、という流れになってないか。そういうチップセットで問題が起こった場合、チップの不具合は、アセンブリメーカーでは手も足も出ない。
 
 
つまるところ、消費者が、「ちゃんとやれ」っていう要望を厳しくメーカーに送り続ける事が重要なんだと思う。
USB-IF認証を通した製品が1つもないようなメーカーは、USBに関して、ちゃんとした技術的ノウハウを持ち合わせてない可能性がある。購入は避けるのが賢明だろう。