chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

二酸化炭素を農業に使うニュース

 
ネタ元:

トマト栽培を10年で黒字化、カゴメの未来工場
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252376/101700173/

 
こ れ は す ご い
 
もともと、トマトの栽培ってやつは、連作が難しいという問題が出発点なんだよな。伝統的な農法では、毎年一定の収穫をあげることが難しい。カゴメにとっては死活問題だ。
それで、トマトに限っては、土に頼らない水耕栽培が発達し、こういう植物工場的なものに発展したりしている。
 
それにしても、この巨大な空間をほぼ密閉状態にして、二酸化炭素濃度を上げて収量をUPして黒字化したってのは、これは画期的な事なんですよ。
 
一方では、石炭による火力発電所の問題がニュースになってたりして、

「なんとフランスの10倍…!CO2排出大国ドイツの「不都合な真実」」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57932

この問題に対するカウンターとして、火力発電所二酸化炭素を回収して外に放出しないという技術は既にある。
 

三菱重工│地球とともに歩む│CO2(二酸化炭素)回収装置
https://www.mhi.com/jp/special/earth/learn/ccs.html

 
ところがここで問題だったのは、回収した二酸化炭素をどうするのかという事だった。使い道が無いならば、まるで福島第1原発の汚染水のように果てしなく溜まる一方になってしまう。二酸化炭素の工業的な需要も無い訳ではないだろうが、日々の火力発電所で発生する二酸化炭素を使いきるめどなんて立たない。それがボトルネックで、技術は有るのに、結局、大気中に放出せざるをえないというのが現状だった。
 
その厄介な二酸化炭素を農業に活用して、二酸化炭素を分解するとともに農作物の収穫UPにつなげるって、一石二鳥にも三鳥にもなる話ですよ。すばらしい。パズルのピースがまた1つ埋まった。
 
関連しそうなニュースとしては、こういうものもある。

藻類から石油の回収研究、大幅見直し コスト減進まず 民間参画、農業用に重点
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201807/20180723_11020.html


藻類から石油を作る話って、実験室レベルではうまくいっても、それを大規模化するとなると、まったくうまくいかない。なぜかというと、藻が繁殖する環境中の二酸化炭素があっというまに使い尽されて欠乏状態になるからだ。大量の石油を藻に生産させようと思ったら、大量の二酸化炭素が必要。なので、こういう話になる。
 

藻の次は2酸化炭素回収方法がネックになりそう chintaro3の日記
http://d.hatena.ne.jp/chintaro3/20101216

藻から石油は嘘っぱち!- 北海道大学
http://rock.eng.hokudai.ac.jp/fujii/mo2.htm


もう8年も前のニュースか。
ポイントは、二酸化炭素を農産物なり藻なりの生育に大量に使うというサイクルが、経済的に成立する状況になるかどうかなんだよ。ここで、カゴメのトマトの育成に二酸化炭素を活用して黒字化した、ということの意義はとても大きい。一度このサイクルが回り始めれば、銀行からの融資も通りやすくなり、規模拡大する可能性が開けてくる。