今まで隣は高齢で耳が遠かったので騒音問題で苦情になることはなかった。
反対側のお隣さんは、むしろうちが騒音被害を受ける側だったので、たまに音楽を聞くぐらいは不問という状態だった。
それで、騒音問題についてあまりまじめに考えてこなかったのだけれど、空き部屋になったとなりに、もし騒音に神経質な人が入ったら最悪どうなるかを考えてみた。
環境基準では、40dB以下なら静か、とされているけれど、実際に騒音計で測ってみると、「これ以下なら確実に問題無いな」と断言できるのは20dB以下。夜の屋外で30dBぐらいである。
40dBだと、小音量でBGMを鳴らしていたときぐらいのレベル。聞きたくて聞いているなら問題無いけれど、深夜に隣からBGMが聴こえてきたらクレームになりかねない。 40dBという数字は、裁判などでもめまくった際の1つの判断基準、という最悪値と考えた方がよさげ。
つまり、「隣人と絶対に騒音でもめたくない」と思うならば、30dB以下に抑えなければ完璧とはいえない。30dB以下ならば、屋外の騒音と区別がつかないので、問題になる事はほぼ無いと思われる。
壁の防音性能は、鉄筋コンクリートなら45dB程度という資料があった。一般に、TVの音量が 60~70dB程度ならば、鉄筋コンクリートを通して伝わってくる音は 70-45=25dB ということで許容範囲内ということになる。ただしこれには注意点があり、窓の防音性能は鉄筋コンクリート壁よりずっと悪いという事。だから、窓を通して漏れる音のことを考えると実際はこれよりも悪い値になる。こういう場合は、窓だけ局所的に防音性能を改善すると効果がある。
落とし穴として、隣の家との壁の穴が天井裏に隠れている場合がある。浴室の換気扇の穴などが問題になりやすい。浴室で歌うと隣の住人の浴室に歌声がツツヌケ、とか言う問題はたまにきく。
戸建で、しかも家賃の安い古い木造平屋のような場合だと、現在の標準的な工法のものでも30dB程度、昔の建物だと 15dB程度しかないという資料があった。マンションと違うのは、家と家との間に少なくとも数mの距離があるので、これによる音の減衰が期待できるということだ。この効果を仮に 10dB程度(約3mに相当)とすると25dB、それに加えて隣の家の壁の防音性能がやはり15dB程度だったとすると、合計で40dB 程度となる。つまりそれらを合計すると、鉄筋コンクリートの壁一枚を隔てた隣の部屋との防音性能とおおむね同じということだ。ただし、これも窓の問題がある。うっかり油断して窓を開けて大きな音をだして、トラブルになってしまうというケースは多いらしいので気をつけなくてはならない。
楽器の練習をしたい場合、完璧を期すなら防音性能は 70dBも必要になるという。70dBというのは500Hzでの性能で、これより低音では大幅に悪化するためだ。防音性能としての指標が仮に70dBあったとしても、その場合の低音は 55dB程度の防音性能になる。楽器の音というのは、大きな音じゃないつもりでも90dBぐらいは普通に出るので、90-55 = 35dB ということになり、これでやっと許容限界ギリギリという話になる。防音性能70dBというのは、新築の建物で基礎工事から防音室にすることを想定してガッツリお金をかけて作るプロの音楽スタジオのレベルなので、賃貸物件では不可能だ。つまり、通常の賃貸物件でドラムスや低音楽器の練習は不可能、という結論になる。