chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

物価上昇とユーロ高

 
石油の価格は実は上がっていない?
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080818_real_price_of_oil/
 
この記事について、色々反論エントリーが挙がっているが、いや、ちょっと待てよと考える訳。
経済についてはまったくど素人なのだけど、これが原油高ではなく、世界経済の中でのドル安・円安と見る方が、より正しい見方なのではないかと直感した。
 
先ず、いわゆる発展途上国新興国の近年の発展がめざましいことは今さらいうまでもなく、これによって各種の資源や食料が不足気味になっているという話は間違いないものと思うが、もう一つ、大事な視点を忘れてないか。
 
発展途上国新興国の発展は、ヨーロッパのユーロと、アメリカの米ドルと、いったいどちらに味方するだろうか?
 
メキシコなどの一部例外はあるものの、実は大半の発展途上国新興国の発展は、結果的にヨーロッパのユーロを後押しするような形で機能している可能性が高い!!!

ユーロ高の背景には、一つにはEU各国が自国の財政状況を懸命に改善させてきた結果として、国際通貨としての信頼性を十分に高めて来たという側面もあるのだけど、それだけでは説明がつきにくい。
 
ここで、発展途上国新興国の多くが、かつてヨーロッパ諸国の植民地だった過去をもつ、という事実を思い出さなくてはならない。そんな大昔の話をほじくりだしてどうする、と考えるのは甘いと思う。植民地だった国の多くは、独立を果たした後も、産業面や教育面ではヨーロッパに依存する状態が長く続いて現在に至っている。公用語一つとっても、元植民地だったほとんどの国で、独立後も、その元支配国の言語が公用語の一つとして現在まで使われ続けてきているということが、経済にどのような影響を及ぼすか。人的な交流もアメリカや日本のそれよりはずっと深いのではないか。
 
実際、ユーロ建てで見たときの原油価格の上昇は、ドル建て、円建てで見たときのそれほど酷くない。ユーロが上昇しているためだ。ユーロ高と原油高は必ずしもリンクしてはいないのだけど、ドル建てで動いていた世界経済が次第にユーロに軸足を移し始めているのではないかと考えると、・・・どうだろう。原油や金属材料や食料の値段が上がったのではなく、世界経済の中で、米ドルや円の価値がどんどん低下しつつあるという姿が見えてくる可能性は本当に無いと言えるか?
 
さらに悪いことに、アメリカも日本も政府の財政状況がEUのそれと比べて悪いといわれているのだ。
 
発展途上国新興国がこぞってユーロに軸足を移して世界経済を回し始めたら、このまま米ドルや円が下落して数十年後に悪夢のような状態になるシナリオを否定できるだろうか。かつてロシアの通貨が紙切れになってしまったようなことが、数十年後に米ドルや円で起こらないと保証できる理由はいったい何なのか???一度疑ってかかってみてもいいはずだ。
 
発展途上国新興国の隆盛は、アメリカでも日本でもなく、EUに味方する!!!
 
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そういう視点から考えると、原油高になったからといって、じゃぁ電気自動車を普及させれば?という考えは、甘い!甘すぎる!と叫ばなくてはならない。
車は原油だけからできているのではない。鉄鋼だって銅だって値上がりしているし、ありとあらゆる工業原料の値上げ・・・正しくは円安・ドル安・・・の前に、原油に対してだけ手を打つのでは明らかに不十分だ。
ついでにいうと、電気自動車が普及したところでバッテリに不可欠なリチウムが暴騰するリスクは否定できないはずだし、(もっとも、一度使ったらおしまいの原油と比べると、リサイクルできるリチウムの方がずっとましではあるが) 充電に必要な安い電力は原子力発電に支えられている訳で、これがこの先何十年も安心かというと・・・どうなんだろねぇ・・・。
 
これはまじでやばいっすよ。円や米ドルがこの先の世界経済の中でずるずる値を下げる事態が続いたらどうなるか、どういう手が打てるかということを、もっと真剣に考えなくては。