chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

VOCALOIDの楽しみ方

 
増田のネタエントリーが人気ですが。
http://anond.hatelabo.jp/20090308152436
それに対する反応として、自分みたいな意見の人ってあんまり居ないみたいだなーと思ったので、纏めておきます。ネタにマジレスカコワルイとか、そういうこと言わないように。
 
VOCALOIDを使った作品で、昨年たまたまトップを走ったのがryo氏だったのだけれど、そういう人気の楽曲だけを見ている人というのは、大事なポイントを見落としていると思うんですよ。
 
その昔、moog博士が作ったアナログシンセサイザーが、音楽史に深く刻まれるであろう事に異論を挟む人は居ないと思うけれども、VOCALOIDのベースになっている発想や技術の積み重ねというものは、それにも引けを取るものではないということが、先ずあります。基礎となる技術要素は過去十数年に渡って研究されてきた色々な成果が詰まったもので、ただのキャラクター商品ではありません。そしてその研究はまだ終わっておらず、今も続けられています。将来きっと、さらに優れたものへと進化を続けることが期待できます。ニコ動内のVOCALOID界で興った、ここ1年半ほどの間の物語は、まだまだ序章にすぎません。
 
それを踏まえたうえで、初音ミクをはじめとするVOCALOID商品について考えると、それはそもそも完璧な製品としてこの世に送り出されたのではない・・・研究途上の不完全な存在として商品化された・・・という生い立ちを持つことになります。これはつまり、近い将来、より優れた音声合成ソフトによってその座を奪われることになるに違いない、ということでもあります。初音ミクは自分では何も語らないキャラクター商品ですが、生まれながらにして悲劇的な運命をたどる事が宿命付けられたキャラクターでもあるのです。
 
そんなキャラクター達のための作品が、日夜制作され、ありとあらゆる応用の可能性が試され、ニコ動上にUPされ、沢山の派生動画が生まれたりしながら、成功したものはプロのミュージシャンと肩を並べてヒットチャートを飾る。 自分ひとりでは何も語らず、何も歌えず、中途半端な存在でしかない架空のキャラクターが、大勢のクリエイターとファンにささえられて、とにもかくにもここまで来た。すばらしい話じゃないですか。これはやっぱり本当にすごいことだと私は思います。