chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

BABYMETALの何がイギリスのオッサン達に受けたのか

 
BABYMETALのWikipediaの記事読んでたら、面白い記述があったんよ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/BABYMETAL

“メタル・ゴッド”ことロブ・ハルフォードは2016年7月にBABYMETALと歌唱を披露した上で「BABYMETALはメタルの未来」と評した。「ジューダス・プリーストの他の連中も、(彼女達が)ジューダス・プリーストヘヴィメタルのルーツと認識している事にとても心踊らせているよ。そして(BABYMETALの三人を手で示しながら)未来はここにある」

 
「未来はここにある」って、これ以上ありえないぐらいの最上級の褒め言葉だよね。で、単なる社交辞令で、この言葉は出てこないんじゃないかなと、直観的に思うんだよね。すごく重い言葉だなと。ちなみに、このロブ・ハルフォードってどんな人なのか
wikipedia ロブ・ハルフォード http://goo.gl/sQhBhe

HALFORD(ハルフォード)はTWO解散の後にロブ(ロブ・ハルフォード)が結成した現代的な感覚のヘヴィメタルを取り入れた正統派ヘヴィメタルバンド。

このロブ・ハルフォードっていう人が、イギリスの人たちにどのように支持されているかというのが、次の動画で垣間見える。


日本語訳抜粋

0:21〜
ご存じない方もいるかもしれませんが、ロブ・ハルフォードJudas Priest のシンガーで、ブリティッシュメタルの「神」ですよ、ええ。何ていいましょうかその・・ Judas Priest は世界どこへ行っても有名なバンドですよ。わかります?単なるその辺のバンドじゃなくて、北米だろうが日本だろうが、どこ行ってもみんなが知ってるバンドですよ?
ロブ・ハルフォードは物凄い声の持ち主で、とにかく、とんでもなくスゴイんです。
Judasのライブは何度も見たことありますし、だいぶ昔見たこともあるし、最近見たこともあるし。
ロブ・ハルフォードって、もう還暦過ぎてると思うんですが、っていうか、60代後半じゃないかな?それでも彼なら今でも、君の鼓膜を破っちゃう事ができるんですよ。凄い声なんです。

5:11〜
笑ってるんじゃねーぜ! 最高だわ!

9:23〜
Judas Priest はどこからとってもメタルゴッドなのよ! メタルを知るメンバーにはたまらないよな。

10:15〜
ダメだ、泣ける・・。

12:24
ロブ・ハルフォードは実直な男ですからね。「メタルゴッド」と呼ばれることにあぐらをかいたりせずに、

この人自身が、若い時からロブ・ハルフォードの大ファンということを差し引いて見る必要はあるのかもしれませんが、良い歳のじいさんが、BABYMETALとロブ・ハルフォードの競演をみてうれし泣きするという事から、なんだか、ただ事ではない様子が伝わってきます。この動画のどこに泣ける要素があるのか、にわかには理解できません。ただ、この人と同じような反応をしたオッサンが、イギリスには大勢いるんだろうと推察できます。若い人だけじゃなくて、そういうイギリスのオッサン達とか爺さん達の層にもBABYMETALは受け入れられている。そして、ロブ・ハルフォードは「実直な男」と言われるほどですから、やはりお世辞で「未来はここ(BABYMETAL)にある」と言った訳ではないと解ります。60代後半の、一般的にはおじいちゃんと言われる年代の人が、それを言う事の重み、ヘビーメタルに人生をかけてきた男が、それを言う事の重みですよ。裏を返せば、暗に、「自分たちが今までやってきたことの延長線上には、もはや未来は無い」と言っているに等しい、とも取れる訳ですからね。この自分自身に対する厳しい態度に、人生の重みがある。考えてたら、こっちまでもらい泣きしてしまいます。
 
では、ロブ・ハルフォードは、BABYMETALの何を見て、「未来はここ(BABYMETAL)にある」と言ったのか。ここが問題。単に歌が上手いとか、バンドが上手いとか、ダンスが上手いというレベルの話として言ったとは、とても思えない。
 
状況を整理しよう。まず、BABYMETALのバックバンド(神バンド)がめちゃめちゃ上手いということ。それ抜きで今の成功を語る事は出来ないが、イギリスの歴代のカリスマを生で見てきた人からすれば、それだけが決定的な要因ではないと思われる。では SU-METAL の歌声か? 今、ヘビーメタル界で、SU-METALレベルで歌える女性歌手は珍しい。でも、めちゃめちゃうまいバンドとめちゃめちゃうまい歌手の組み合わせなら、歴代の過去のバンドまで含めて考えるなら、過去にもあったかもしれない。そう考えると、決定的に斬新だったのは、YUIMETALとMOAMETALの役割だと気がつくよな。2014年のライブの時点ではまだ中学生で、その上、イギリス人からみると日本人の女性は実年齢よりずっと若く見えるらしいから(日本人の高校生が、イギリスでは小学生と間違われるレベル)YUIMETALとMOAMETALは、イギリス人の感覚からすると、小学生ぐらいの子供が、ヘビメタのコンサートで踊ったり走り回ったりしているぞ、っていうふうに見えるはずなんだな。
では、YUIMETALとMOAMETAL が子供役だとするなら、SU-METAL は何かというと、これはまぁ、お母さん役だよな。2人の子供の保護者に見える。2人の子供を後ろで見守るお母さんだ。じゃぁお父さん役は誰かと言えば、これがつまり後ろの神バンドのオッサン達なわけだ。 つまり、BABYMETALというのは、まるで家族でやってるファミリーバンドの様な一面を持っているようにも見える。BABYMETALを見たイギリスの観客が、なぜみんな笑顔になれるのか、っていう謎の答えが、そこにある気がするんだな。
 
もともと、ロックとかヘビメタとかデスメタルとか、そういうのは、社会とか大人たちに対して不満を持った若者たちの音楽だった訳じゃん。でもそれが、年月を経て、いつしか、結婚して、子供ができて、自分は子供たちのために働くオッサンになって、腹が出てきて、まるで昔のオヤジみたいになる日が来る。でも、ロックとかヘビメタとかデスメタルとかは、時間が止まったかのように昔のままで、母親とか子供とか家族とかを排除して、昔のままの自分で、自分が主役を演じていた訳よな。
 
その嘘を、BABYMETALはぶち壊した。ヘビメタの舞台の上で子供がかくれんぼして遊んでいても良いし、舞台の上に母親が居ても良いし、自分たちがそれを後ろでサポートする役に回っても良いんだっていう、そういう人としてオッサンとして自然な有り方を、完璧なステージで見せてしまうわけじゃん。そう考えると、これは「ヘビメタとJ-POPを融合させた」というレベルの話では無くて、長年ロックをやってきた人たちにとって、もっと本質的な、人生に関わる、重要な革命だったのかもしれなくて、つまりアレだ、まるで自分に子供ができた時のような喜びとか感動とかに通じるものがあったんじゃないのかなと。親父になってしまったヘビメタラ―達にとっては。だから、メタルゴッドこと ロブ・ハルフォードをして「未来はここ(BABYMETAL)にある」っていうことなんじゃないのかなと。
 
1日考えて、そういう結論になりました。
 
だから、そう考えると、イギリス人にとってのBABYMETALは、ヘビメタっぽいカッコいいテーマを扱う曲よりは、「Gimme chocolate!!」 とか「Doki Doki☆Morning」とか「Catch Me If You Can」とか「Ijime,Dame,Zettai」みたいな、子供っぽいテーマを扱う曲の方が、本質的に重要なのかもしれないな。
 
 
ヨーロッパの移民問題は何か影を落としているだろうか。移民がEUにやってきて、子供生みまくっていて、少子化が解消するのは良いけれど、このまま何十年か続くと、人口的には元移民の方が多い状況になるんじゃないかと予想されていて、それを受け入れるのか否かという問題はとても揉めている。イギリスも例外ではない。世界的に活躍してきた ロブ・ハルフォード は、きっと移民を受け入れる立場だろう。そういうことも、「未来はここにある」という発言の背景にあるかもしれない。
 
 
一方、日本では特定の層にしか受けない理由も、それで解る。日本人の感覚では、そこに家族像を投影する事はできないもんな。日本で推されてるのは、どっちかというとメンバー個人の才能の方で、BABYMETALのアイデアや有り方自体が高く評価されている訳ではない。日本でのプロモーションには、もっと解りやすい家族っぽさ、家庭っぽさの演出が必要な気がする。そうじゃないと、単にプロデューサーのおもちゃになってる若い子たちの集団の1つにしか見えない。