chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

時代錯誤な浄水器の宣伝

 
姉の家に行って食事をご馳走になっていたとき、浄水器の話題になったんだが、そこで姉がこんな事を言い出した。
 
姉「この浄水器は水道管から溶け出る鉛も除去してくれるのよ」
俺「いまどき水道管に鉛なんで使われてないから鉛の心配は要らんでしょ」
姉「えっ、水道管て鉛でできてるんでしょ?」
俺「いったいいつの時代の話をしてんのwww」
 
姉は52歳だが、食品添加物とかにめちゃめちゃうるさい、インテリ主婦である。その姉が、水道管が鉛でできてるだとか、どっかでおかしな話を吹き込まれたに違いない。 
 
気になって調べてみたら、浄水器の宣伝に、確かに鉛除去の効果を謳っているものがある。
水道水の鉛の不安を煽る記事や広告
http://www.okusurinavi.com/water/trihalomethane/
http://www.shinbashi-web.com/contents/suidoukan.htm
http://www2a.biglobe.ne.jp/~ark-jp/aqua/aqua.htm
不動産屋にも鉛対策を謳った浄水器のチラシがあった。
 
そもそも、鉛って、意外と高価で流通量も多くないんですよ。ですから、鉛の管を町のいたる所に配管するなんていうことは経済的にも物理的にもありえない。しかも耐久性がなく、亀裂が入ったりして頻繁に漏水を起こす。ちょっとググれば、こんな資料が出てくる。
「東京都における鉛製給水管解消の取組みについて」
http://www.jiti.co.jp/graph/kikou/09itou/09itou.htm

東京都における鉛製給水管の使用経過は、明治31年12月の水道開始と同時に、給水管として鉛製給水管を採用してきたことに始まる。しかし、昭和30年代以降、給水装置用材料として、管の接合が容易な硬質塩化ビニル管が普及しはじめたことに伴って、配水管からの給水管取り出し部分及びメータ前後を除いた部分での鉛製給水管の使用が減少した。平成4年11月には、既設の鉛製給水管の緊急修理以外使用を禁止し、さらに、平成7年3月31日には、全面使用禁止としている。
東京都は、漏水の原因の大部分を占めていた鉛製給水管の解消に向けて、昭和55年5月に、給水管取り出し部分から第一バルブまでの配管材料としてステンレス鋼管を指定した。

 
水道局が管理している水道管については、地域によって異なるが、現在ではせいぜい2%以下。しかもその残りの2%というのは水道局が権利者と連絡がとれず、勝手に立ち入れない場所ということらしい。つまり人が住んでいて水道局と連絡をとることができる=毎月水道料金を払っている状態ならば、まず問題ない。
東京都「平成18年度末において鉛製給水管がおおむね解消となりました」
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h19/press070615-2.html
 
個人所有の敷地内の水道管は、水道局の管理外なので、古い建築物の場合、その昔に鉛製給水管が使用されていた可能性はある。もしその古い水道管が交換されずに今でも使われているとしたら、そうとう酷い劣化が進んでいるはずだ。鉛は塩素と反応するんですよ。水の殺菌に使われるあの塩素ですよ。水道屋さんが「昔の水道管はひどかったんですよ・・・」なんて言っていたという話を聞いたことがあって、たぶん塩化鉛はその原因の一つ。
塩化鉛 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E5%8C%96%E9%89%9B
 
もし、鉛製給水管に該当してしまっていた場合、鉛浄化対応の浄水器の設置より先に、自宅敷地内で既にボロボロになっているはずの鉛製給水管の交換を行うべき。「浄水器で鉛が除去できるんだよ」なんて悠長なこと言ってる場合じゃない!
 
もし、水道局の水道管も敷地内の水道管も鉛が使われてないのなら、水道水の鉛の心配はないはずで、もし鉛が検出されたとしても、水道管が原因である可能性は低い。もし鉛が検出されるなら、別の原因を疑わなくてはならない。
 
 
ちなみに自分が子供の頃住んでいた実家は築60年以上の古い家で、子供の頃は何度か水道管の漏水があった記憶がある。が、1980年頃に水道管をかなり大掛かりに交換する工事を行い、それ以降は漏水で云々ということは無くなった。たぶんあの時に、鉛管からもっと耐久性のある水道管に交換されたんだろう。しかし、あの工事がどこかに公式な記録として残っているとは思えない。つまり、公式な記録が無いために「鉛管が残っている可能性がある」といわれる場所でも、実際にはうちの実家のように交換済みという所も多いはずなんだがな。
 


参考
http://www10.ocn.ne.jp/~kagakuc/01newtopi/200904/20090428.htm