chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

紙のピアノ

今から40年ぐらい昔の話。
 
鍵盤楽器を買うことができない家の子供のために、紙に鍵盤が印刷されたものが配られたことがあった。
それなりに綺麗な紙に、綺麗に、正確に実寸大のピアノの白鍵と黒鍵が書かれたものだ。
器楽合奏か何かで、みんなで演奏するから、そのためにそれを使って家で練習しなさいとか、そういうことだった気がする。
 
紙に書いてあるだけだから、その鍵盤を押しても音が出る事はない。あたりまえだ。
それを見た時、子供だった僕は、なんだか押したら音が出てきそうな気がして、でも押してもやっぱり音は出なくて、なんとも言えないせつない気分になってしまったことを、なぜかとてもよく覚えている。それきり、その紙の鍵盤は一度も使わなかった。
 
たぶんもう10年以上前から、ぺらぺらの、丸めることができるロールピアノという鍵盤楽器が楽器店やホームセンターのようなところで売られるようになった。価格はとても安い。音は出るが、残念ながら楽器としての実用性はほとんど無い。そのぺらぺらの、丸めることのできる鍵盤楽器を見た時に、あぁこれを作った人も、子供の頃に、あの紙の鍵盤楽器を手にした事があったんだろうなと親近感を覚えた。

今はそんなものを買わなくても、中古でいくらでも安い電子ピアノを購入できる。子供のいる家庭で、子供がそれを欲しいというなら、買い与えられるレベルにはお金のある家の方が多数派のはずだ。
 
そういう現在、そのぺらぺらの鍵盤楽器は、丸めることができるという以外には、今となってはほとんど何も取り柄は無い。でも、音の出ない紙の鍵盤から、どうしても音を出したいと思い、本当にそれと似たものを作ってしまう、そういう人の気持ちと言うのは、尊いものだなと思う。
 
これは安いおもちゃ
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調べると、それなりの値段で高機能な物もあるみたいね。