chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

ニセ科学があるなら、ニセ経済学もありそう。

 
うっかりこんな記事読んじゃったんだけどさ。
 
第1回 よ〜く考えよう。景気は大事だよ。(1)
http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/matsuo/index.html?090515
今日の時点で、第4回までUPされてるよ。以下はその個人的な総評。
 
経済学者が「経済は大事だ」と説くのは当たり前、素直に読めばそういう考えもありかもね、と思う。のだけど、どうもその、ニセ科学っぽい論法がひっかかるのだよ。そういう批判があるのを覚悟の上で、素人にも解るように解説してやってるんだと言うなら、しょうがないかとも思うのだけど。
 
景気⇔失業率⇔その他もろもろの指標との相関
 
を理由として挙げているのだけども、その中でも殺人認知件数との相関はあまりにも都合の良い解釈をしすぎで笑える。「年平均43.1件ずつ減少する傾向が見られました」ということまで調べておいて、なぜ「年平均43.1件ずつ減少する傾向が見られる」のか?という事には一言も触れずにこれを補正係数として使っている。納得いかねぇ。統計データを積み上げてみた結果、ほらこういう相関がありますよ、というのは立派な仕事だとは思うのだけど、一方で相関が見られなかったデータに対して一言の所見も付けないで無視っていうのは、学者の態度としては面白くないね。
 
何が言いたいかというと、この論説で引用されたデータによれば、失業率の良し悪しにかかわらず、殺人認知件数はずっと減少傾向にあるという、好ましい傾向にある、とも言えるわけですよ。失業率すなわち景気の良し悪しは殺人認知件数に対して支配的な相関は持ってない。それはなぜか?ということを調べて、そこに他の事象にも応用できるような理由がもし見つかったならば、例えば「景気の良し悪しにかかわらず犯罪件数が減少傾向になるような政策」だとか「景気の良し悪しにかかわらず自殺者が減少傾向になるような政策」っていうのだって、あり得るかもしれない。しかし、その可能性については一切触れられていない。
 
犯罪件数と景気の動向はこのように統計データ上はっきり相関があります。だから景気を良くして犯罪者を減らしましょう!
自殺者数と景気の動向はこのように統計データ上はっきり相関があります。だから景気を良くして自殺者を減らしましょう!
離婚件数と景気の動向はこのように統計データ上はっきり相関があります。だから景気を良くして離婚を減らしましょう!
 
・・・まぁ、そういう主張をする人が居てもいいとは思うけど、どうもその、私には直感的には何か間違ってるように感じられるのだ。直感的にはね。

要はそれって、「金の切れ目が縁の切れ目」っていう問題が形を変えて見えてきているだけかもしれない。「金の切れ目が縁の切れ目」っていう根本の所を何も変えずに、「じゃぁ、じゃぶじゃぶお金を回していきましょう」っていうのが本当に正しい解決策なのかい? お金が無いなら無いなりに、助け合っていきましょうなんていうのは効率悪くてダサいってか。
 
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例えば、1960年代頃の高度経済成長と言われた時代と、今の2009年の日本を比べて、いま日本が100年に1度の不景気だって言われたって、どう考えても1960年代よりはるかに豊かな訳じゃないですか物質的には。殺人件数がどんどん減ってますよというのは、年々日本が豊かになってきたことの成果だと私は思いたいんだよね。(警察がちゃんと仕事してないだけなんじゃないかというオチだけは無いと信じたい。) 
だとすると、次は、そういう世の中の豊かさの蓄積というものを、犯罪件数の減少とか、自殺者数の減少とか、離婚件数の減少とかにつなげていくようにする方策というのもありそうに思える。
 
不景気といえば国債を発行することしか能がない連中の言い訳に、犯罪件数や自殺者数や離婚件数の統計データが使われるなんていうのだけは、どうにも納得いかないのでござるよ。
 
つまらんエントリーでごめんなさいね。