チリチリバンバンは、自分が生まれる前の映画なのだが、子供の頃にTVで見た。出てくるものがいちいちカッコ良くて、楽しくて、大好きだった。
そのうち、村の拡声器の一斉放送で、決まった時間に流れる音楽の一つに、チリチリバンバンが使われるようになって、毎日聞いて育った。
今この映画を見ると、いわゆるドタバタ喜劇なんだが、当時、科学技術ってものにすごい期待と夢があって、無批判に賞賛されている様子が、時代だなぁと感じる。
朝食は手作りの機械で自動で調理され、自動車はホバークラフトになったり、自動車に羽が生えて空を飛んだり。
自分がガラクタを捨てるのが苦手な原因の1つは、まちがいなくこの映画だと思う。何でも自分で作っちゃうお父さんに憧れたよな。
それから、自動化された生産ラインに、楽しいイメージがあること。これもこの映画の影響だと思う。
007の原作者が造った話なんだってな。007と大きく違うのは、舞台が普通の人の普通の日常生活っていうところか。日常生活に奇想天外な最新技術をもちこんだドタバタ喜劇つったら、たとえばドラえもんとか、まさにそれじゃんな。この映画はドラえもんより前の映画だから、ドラえもんの方が影響を受けていたのかもな。
今のエンターティメント作品て、どちらかというと科学技術に批判的な姿勢のものが多い気がする。それはそれで正しい。ただ、そういうものをみて育った人たちの世代は、チリチリバンバンの世代とは何かと違うんだろうなと、こうやって「世代」ってものが区別されるようになるんだなと思った。