chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

「あえてマニュアル化しない」はアリか?

 
夕食をファミレスで食べてきた。いつもの、マニュアル通り、のおいしい夕食。
ファミレスをはじめ、チェーン展開している店というのは徹底したマニュアル教育がミソだ。
 
翻って、今の自分の職場には、独自かつ公式なマニュアルというものがほとんどないなぁ・・・。下請け体質の中小企業で、上の企業のマニュアルを順守させられるケースが多いということもあるし、アウトプットの品質が均一であることがあまり重要視されない(それより短納期や低コストが重視される)という特殊な業種ということもある。そして何より職人気質がそれを支えている。
 
こういう環境では、マニュアルどおりに育ってきてしまったマニュアル君は驚くほど非力。
人に仕事を頼んだり頼まれたりしたときに、言葉通り受け取ったのではうまくいかない。相手を見て、相手のやりかたに合わせなくてはならない。この先輩達のやり方がまた10人十色なわけで、逆の立場ならそりゃー大変だろうなと思う。非効率極まりないと言われてもしょうがない。
 
では、こういう中小企業でも、マニュアル化を推し進めるべきなんだろうか?
 
大企業というのは、マニュアル化によって支えられていると言っても過言ではない。
ファミレスやコンビニは言うまでもなく、国内の家電メーカーの場合も、工業製品の生産手順を徹底的にマニュアル化して、電気の事を何も知らない素人でも家電製品を生産可能な体制が整っていたりする。大企業のかつての成長の過程を見れば、マニュアル化を積極的に導入したことが急成長のキモだったという事例はたくさんあるはずだ。
 
でも一方で、日本国内には非常にたくさんの中小企業があり、そういう中小企業によって大企業が支えられているという側面もある。この手の中小企業は、マニュアル化があまり浸透していない所が多い。というか、大企業がマニュアル化できない部分を、中小企業が請け負って職人気質で片付ける、ということでうまく役割分担しているともいえる。

中小企業が今からマニュアル化して、大企業にガチンコ勝負を挑んだところで、結局辛い戦いを強いられることは目に見えている訳で、あえてマニュアル化しない・できない部分で特徴をだして生き残るという方法は、すくなくとも現時点では、有効な戦略の一つだったりする。まぁ、そのために中小企業の新人君は余計な苦労をさせられるわけではあるのだけれど。
 
これを仕事だけじゃなく、もうちょっと広範囲にあてはめて考えてみると。
マニュアルというものと、どう付き合っていくべきかということを、もうちょっと慎重に考えてみることも必要だなと。マニュアルが、世の中を合理的に動かすために不可欠な存在だとしても、何もかもマニュアル化すべきかと言われれば、それはNOであることもまた確か。
 
想像してみてほしい。おぎゃぁと生まれてから老いて死ぬまで、あらゆる全てのことがマニュアル化された世界というものを。
マニュアル通りに生まれ、マニュアル通りに食事をし、マニュアル通りに勉強し、マニュアル通りに恋愛し、マニュアル通りに家庭を持ち、マニュアル通りに仕事をし、マニュアル通りに死んでいく人生があるとしたら。
 
それはもう、人生と呼べるものではないだろう。人生をマニュアル化するなんて、ナンセンスなこと。
 
人生から全ての無駄を取り除いたら、そこには人間らしさが何も残らないんじゃないか。
人生には無駄があっていい。無駄こそが人生なのかもしれん。