chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

有機農法と自己責任

 
ネタ元:
そんなバカな! 有機野菜より農薬野菜の方が栄養があり、おいしいと発表される – ロケットニュース24(β)
http://rocketnews24.com/?p=77296
と、はてブ
http://b.hatena.ne.jp/entry/rocketnews24.com/?p=77296
 
有機農法を推進している人達というのは、アカデミックな手法を軽んじすぎる所があって、問題のある宣伝文句やクチコミが多いよな。で、巡り巡ってこんな記事にされる。これは批判されても仕方ないっつーか、むしろ批判されるべき。そもそも、有機農法は栄養やおいしさを狙ったものじゃないっつーの。
 
まぁ、実際の農家は、化学肥料や農薬も上手に使いつつ、有機農法の考え方や手法も取り入れる、という折衷案で営んでいるところが大半なので、こういう比較自体がほとんどナンセンスなんだけどな。
 
化学肥料や農薬を一切使わない、というのは、かなり変わった人ではあるんですよ。でも、そういう結論に至ってそれを実行するようになったのには、それなりの理由がそれぞれにある。「化学肥料や農薬を一切使わない」という結論に至った農家は、最初からそうだったわけじゃない。化学肥料や農薬を使う農業も、使わない農業も、両方試してみて、その結果使わない、という結論を出している訳。その過程について何も知らないで、味や栄養価がどうだとか、収穫量が減るからという理由で有機農法を否定されるのは、正直非常に気分が悪い。
 
例えば、化学肥料や農薬を使用して、そのお陰で収穫量が2倍になったとしよう。そしたら、農家の売上金額は2倍になるのだろうか?答えは多くの場合「否」である。多数の農家が化学肥料や農薬を使用して収穫を増やした結果、生産過剰で値段の暴落が起き、単価が半分以下になってしまい、むしろ売上げ総計が減るという事だって、実際には珍しくなかった訳だ。
一般論としては、これは、農家の自己責任ですよ。何を作付けするかは農家の自由裁量な訳で、需給関係の調査や予測が不十分だったために、生産過剰が生じて損失が生じるのは農家自身の責任。逆に、タナボタ的に価格が高騰したときは、利益を総取りできる訳だから、損した時だけ泣き言を言っても誰も聞いてはくれないという厳しい世の中。便利な言葉だよね「自己責任」。
 
しかしだな、「化学肥料や農薬を使用して、収穫が2倍になって、美味しくて綺麗で安い農作物が大量に都市部に供給されるようになりました」っていう事でメリットを享受しているのは都市部の人達な訳でしょ。その一方で農村に残されるのは、化学肥料や農薬の支払いと、それに汚染された自然環境。十分検証してあって安全係数見込んであるから問題ないって言うけどな、それを30年も40年も散布し続けた農地で毎日仕事をして、原因不明の病気に悩まされる人間の身にもなってみろっつーの。
それを農家の「自己責任」で片付けてしまうのが現実の世の中だったなら、「農家の自己責任で化学肥料や農薬を一切使わない農業をする!」っていう決断をするのだって、農家の自己責任による選択肢として有りじゃないと、おかしいだろう?   

id:nabesems 有機野菜は適切に化学肥料を使ったものよりコストが高く、入手困難で、安全性が低く、環境負荷が重く(収穫量あたりでは)、かつ味と栄養の面でも優れているとは言えない。不買運動の対象になってもおかしくない商品
http://b.hatena.ne.jp/entry/rocketnews24.com/?p=77296

そういう考え方もアリなことは認めるが、はっきり言って余計なお世話だ馬鹿野郎。
 
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ホームセンターで売られている農薬を見てきたら気分が悪くなった