chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

夢を売る商売

 
知り合いが、iPhoneの新機種に買い換えようかどうしようかと悩んでいる。
私はiPhoneはどうでもいい人。家でも会社でも好きなときにPCが使える環境で、通勤は車で携帯端末使えないから、ネットの端末として使う機会がないことと、そもそも電話嫌いなので、電話としての必要性もない。写真を人に見せるツールとして便利だな、とは思う。
 
で、なんでiPhoneの新機種を我先にと買い求める人が沢山居るんだろう、と考えるに、おそらくそれは、単に「物」としてそれを欲しがっているだけではなく、その先にある可能性というか、もっとお花畑的に表現すると「夢」を買い求めているんだと思う。
 
かつてのパソコンもそうだった。大昔のステレオもそうだった。カッコイイ自動車や、マイホームもそうだった。単に物質として「それ」を見ているのではなく、その「物」の向こうに、「夢」を思い描くことができるからこそ、それは魅力的なものだったのだ。
 
で、最近のこういう記事とか見るにつけ、何が根本的に違うのか。
Sony Tablet販売初日が酷すぎて葬式会場に --- ハムスター速報
http://hamusoku.com/archives/6061712.html
 
ソニーにはもう、「売るほどの夢」が無くなっちゃったように見える。ソニーに限った話じゃない。大手企業の多くが、似たような状況に陥っている。
 
iPhoneは、カリスマ経営者の力で、今絶好調だが、私はこの好調は長くは続かないんじゃないかと予想している。iPhoneのベースになっているアイデア・コンセプトが、20世紀的なものに見えるからだ。技術の進歩が予想より遅かったせいで今になってしまったが、iPhoneは、「20世紀に描かれた未来像」のレールの上に存在している。基本的なデザインコンセプトは、20世紀前半に、ドイツのバウハウスで生まれたもの、とさえ言ってしまっていい。
 
今はもう、そういう「20世紀的な未来像」というのは時代遅れになりつつ有ると思う。21世紀になっても、昔の予想ほどには科学技術が進歩してはいないこと、原子力エネルギーの開発が頓挫して、エネルギーコストがボトルネックになりそうなこと、人口が増大し、紛争は絶えず、天災や伝染病などの脅威も無くならないことetc. ・・・あらゆることが、かつてのカッコイイSF物語に出てきたような世界とは違いすぎるから。
 
そこで、ちゃんと自分達の足元を見て、現状を踏まえた未来像というのを、もう一度ゼロベースで組み上げ直さなくてはならない時期なんだろうと思う。
昔の予想と異なる世界になってしまったことを嘆いていてもしょうがない。夢が無いなら、造ればいい。これから。それができなければ、これからの商売はもう、成り立たない。