chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

私たちは、自尊心を買っている

世の中には、なんで成り立っているのか不思議な商売というのがある。
 
たとえば「マッサージ」なんていうのがそれだ。中にはその効用が医学的に証明されて保険適用になるケースも一部にはあるようだが、ほとんどは保険適用外だ。すなわち、医学的にはその効用が認められていない。にもかかわらず、長年繁盛しているマッサージ店というのがある。
 
実際、自分もマッサージを受けてみてわかるんだけど、マッサージしてもらったからといってどれぐらい体の具合が良くなるかというと微妙なところで、むしろ「もみ返し」などといって筋肉痛になる場合さえある。単純にマッサージの物理的な効果だけでいうならば、金額ほどの効用はなく、旨いものでも食った方がましに見える。
 
マッサージの効果は、心理的なものの方が大きいし、むしろそっちが本質なんだろう。「マッサージ師さんにこんなに熱心にマッサージしてもらえる自分は価値のある存在なのだ」と思えることが重要なんだな。なんかそういうお菓子のコマーシャルがありましたね。
 
ヴェルタースオリジナル「特別な存在」篇 30秒×2 - YouTube
 
そういう、「自尊心」が商売のキモになっているケースって、思いのほか多いんじゃないか。例えば、なぜ高級車が売れるのかといえば、「高級車を所有することによって自尊心が高まる」という要素は外せないだろう。

コンカフェが繁盛する理由も、「自尊心」がキモだと思う。コンカフェに勤める女の子はかわいい衣装で自尊心を高めることができ、そこへ通うお客さんはかわいい女の子と世間話をすることで自尊心を高められるという構造だ。客は自尊心を買っている。コンカフェでは相手の自尊心を傷つけるような発言はご法度なのだ。
 
コンビニで売っている小さなお菓子でさえ、過剰なほどのきれいな包装が施されている。しかしだからといって包装を簡素化することはできない。過剰なほどのきれいな包装がお菓子に施されていることによって、それを買う消費者の自尊心を満たすことができる、ということが重要なのだ。
 
「自尊心」という観点が無さ過ぎて失敗する店もある。私が見かけたのは、セルフサービスのカレー店で、客が自分でご飯と具材とカレーを盛り付けて、最後の会計だけ店員にチェックを受けるというスタイルのカレー店だったのだが、オープンして1ヵ月も経たずに閉店した。理由は店員が辞めてしまって人がいないから、ということが表向きの理由だが、この業態では合理化があまりにも行き過ぎていて、店員も客も、自尊心を高められる要素が商売の中に全くなかった。店員と客の両方がみじめな気分になる商売なんて、繁盛するはずがないのだ。
 
日本で商売に失敗する人の1つのヒントになるかもしれない。合理化の名のもとに自尊心まで切り捨ててしまってはいけないのだ。私たちはロボットではない。