chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

アニメ映画「この世界の片隅に」

 
晦日に1回見て、それから再度、原作のマンガを一通り読み直して、それでもう一度見に行った。
 
原作のマンガでは気がつかなかったが、アニメで気が付いたのは、後半で出てくる、庭に舞い降りた白いサギの意味な。あれはたぶん、幼ななじみの哲が戦死したことを暗示しているんだろうな。それで、「広島へお帰り」と言い、ダメ押しに、機銃掃射でお土産の白い羽が射抜かれてしまう。そういう暗示的な描写は、戦争映画ではよくあるパターンかもしれないが、そのつもりで見てないと、何の事だかわからない人も多いだろうな。
 
色々と良く調査してあるアニメだけど、腑に落ちなかったのは段々畑で家庭菜園的に野菜を育てている描写な。何が腑に落ちないって、石垣が立派過ぎる割に、水路が整備されていないっていうアンバランスさ。あれは無い。
呉のあのへんて、地質的に、石垣にするのにちょうど良い石って、あんまりそこらへんには転がってないはずなのよ。なので、あのアニメに出てきたような石垣を作ろうと思ったら、けっこう遠くから石を運んで来なくてはならなかったはずなんだ。バスも上がってこれないほど急な坂だから、トラックも上がれない状況だっただろうし、人力か、牛車のようなものにでも乗せて石を運ぶしかない訳だから、そりゃかなりの大事業で、それをあんな猫の額ほどの小さな畑に、そんなお金をかけて立派な石垣を作るなんてことが、あの時代的にはありえない訳。でもまぁ、そこは海軍の住宅地だから、金にものを言わせて石垣を作ったのだとしよう。しかしそうするとだ、それだけお金をかけるからには、設計もきちんとしているはずで、それならば農業用水のための水路も張り巡らせて当然な訳よ。畑に水路はつきものなの。でもあの段々畑には水路が無くて、バケツで水を運んでいる。ありえねーよ。斜面を適当に切りくずして作っただけの急ごしらえの家庭菜園ならともかく、あの立派な石垣に、水路無し、は有り得ない。あそこは残念だな。
 
あと、畑に雑草が多すぎる事も、あの時代的には変。現地の現在の畑は、雑草ぼうぼうだったかもしれないけれど、昔は普通はそんなんじゃなかったんだよ。それは米軍が撮影した航空写真を見ても解る。作物以外には、草一本生えてないほど、草引きが徹底されていた様子が航空写真に残っている。例外的に手入れが行き届かずに雑草生え放題の畑も有ったかもしれないけど、あのお姉さんがすごい世間体を気にする人じゃないですか。雑草を放置していると、タネが周辺の畑に散らばって迷惑をかけるので、そういうのは世間体が悪い訳。なので、畑の草引きも万全だったと考えた方が自然に思えるんだよな。それほど広い畑でもない様子な訳だし。
 
街の描写は立派だったけれど、一言で言えば、農業なめとる。