chintaro3の日記 

基本、チラ裏です。書いておくと頭の中が整理できますゆえ。

VOCALOIDの話 つづき

初音ミク界隈で理解されてないことの続き。
 
ねとすたシリアスでこういう話が出ていました。

23分52秒あたり 黒瀬陽平さんの発言

初音ミクが一番、やっかいというか、要するに僕らにとっては「初音ミク」っていうのをどう論じたらいいか解んないんですよ。キャラなんだけど、キャラクターものとして扱うにはあまりにも大きな現象を含みすぎていて。

そういう風に認識してもらっているというのは、初音ミクファンとして非常に嬉しいです。そこまで理解してもらっていたら、既にかなり理解されていると思うんですけど、いちファンとして、少しでも解説を試みたい気分になっちゃいますよね。
(この他に、東先生も「初音ミクはよく解らない」というような旨の発言をぽろっと、こぼしている場面を見たような気がして、それがどこだったか、3日ぐらい探しているんだけど未だに見つけられないんですけど、たぶん似たような認識なんだと思います)
 
私は初音ミク動画を投稿している訳でもないし、全体を俯瞰できるほどたくさんの動画なり言説なりを研究したわけでも無いのですが、私と同じような動機づけで、初音ミクをはじめとするボーカロイド作品を応援している人はけっこう居るはずだ、という実感はあります。
 
(2)世界の音楽史におけるVOCALOIDの立ち位置
ここで長々と音楽史の講義をすることも出来ないし、私が人に教えられるほど学があるわけでもないので、「世界の音楽史におけるVOCALOIDの立ち位置とは?」っていう命題を与えられて、ピンと来ない人は、まず「世界の音楽史」を勉強してきてね、って言う話になっちゃうんですけど、結論だけ言うと、要するにこういう話です。

その時代を代表するような音楽は、その時代の最先端の技術を駆使して創られる。

科学的では無い話ですし、「んなわけねーだろバーカ」ってツッコまれそうな、非常にナイーブな考え方だとは思います。ただ音楽史というものを紐解いてみると、確かにそう言える場面というのがあって、現在でもこういう考え方を支持する音楽家が、少なからず存在するんですね。
 
で、VOCALOID。疑いなく現代最先端の技術の一つじゃないですか。これをうまく使えば、音楽史に名を刻むような功績を遺せる可能性がある。直接的に名を遺せなくても、何か新しい音楽世界を切り開くために、何らかの貢献ができる可能性がある。素晴らしいことじゃないですか。これは「音楽」っていうものに人生を捧げて、ガチで音楽に取り組んでいる人にとってさえ、十分魅力的なテーマのはずです。
 
初音ミクが登場してまだ2年ちょっとなので、この先どうなるかは解りません。たとえばこれから50年後とか100年後とかに、この2007年8月31日から始まった、このムーブメントが、全く何の記録にも記憶にも残らない、という可能性も、無いわけじゃない。でも、きっとそうじゃ無いはずだ、50年後とか100年後とかに2007年8月31日を振り返ったら、「あぁ、あれは音楽史に残る物凄いムーブメントの始まりだったね」と言われる可能性も十分ある。今、自分たちは、音楽史上に残る重大事件を目撃している当事者なのかもしれない。
そういう視線でVOCALOIDを見ている音楽家にとっては、キャラだとか萌えだとか、そんなことはどーでもいいんです。
 
ex. sansuiP 「家具のミク5」

もっと聞きたい人は→私選、2009年度衝撃的だった曲10選。--- tac_の音庭
 
当然ながらこういう人達の作品は、たとえニコニコ動画に作品が投稿されても、ランキング上位に上がってくることはほとんどありません。一般的な視聴者に受けるかどうかなんていうことは眼中に無いのですから、マイリスも増えないしコメントも増えないし再生数も増えない。ランキング上位ばかり追っていたのではけして見えてこないVOCALOIDの一面です。しかし、音楽史を意識しつつ真にクリエイティブな創作活動を目指しているクリエイター達の活動には、重要な意義があると思います。この人たちのことを語らずにVOCALOIDを語ることはできません。
 
ですから、繰り返しますが、黒瀬陽平さんがこう話されていた件

キャラクターものとして扱うにはあまりにも大きな現象を含みすぎていて。

この理解はとっても正しいと思います。
 
(3)アマチュアミュージシャンの切羽詰まった状況
前項はガチプロの話ですが、最後はアマチュアの話。
つづく。