昨日の続き。
心をつくる --- 池田信夫blog
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51301400.html
脳はまず外界のモデルをつくり、その予測を経験によって修正しながら知覚するのだ。
自分の見ている色彩と、他人の見ている色彩は、ほとんど同じでも、微妙に違うんだろうな、という所までは考えたことがあった。でも、自分が今見ているものはリアルな本物ではなく、脳内に再構築されたそれなのだ、と考えなくてはならないのだな、と気がついた。
赤とか青とか黄色とか言うのは、人間が勝手にそう認知しているだけで、その実態は、それぞれの物質が、ある特定の波長の電磁波に対して異なる反応を示している、という物理現象であるに過ぎないわけだ。
そう考えると、人と人とがコミュニケーションし合える、ということは、とても奇跡的なことに思えてきた。
自分が見ているのと同じ世界を同じように相手も認知している、と信じられるということ。
いわゆる「認知症」というのが、自分の中に世界を再構築することができなくなっていく状態と考えると、単に記憶力が落ちる、というのとは本質的に違う問題なんだな、とイメージできる。
自分の中に構築されている世界というものを、普段は疑わずに生活しているわけだけれど、Aさんの中にある世界と、Bさんの中にある世界が全く同じ、ということは、実はありえない。100人居れば、100通りの世界が、それぞれの人の中に存在するということだ。100通りの世界それぞれに通用するようなコミュニケーション方法、なんていうのは、きっと本質的にとても難しいことなのだな。