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『乗数効果と公共事業の短期的効果への疑問──藤井聡先生へのリプライ』への追加コメント ---- SYNODOS
http://synodos.jp/economy/7259
一言で言うと「穴を掘って埋める公共事業は無駄か、有益か」という話。ある学者は無駄だと言い、別の学者は有益だと言う。
ミクロ的には、どういう労働者を想定するかで結論は変わってくるよね。
この道何十年というベテランで年収も貯蓄も実力も十分にある人だったら、「穴を掘って埋める」などという仕事に何の意味も無い。稼いだお金は貯蓄に回るだけ。控えめに言っても、そんな仕事は断って、もっと有益な仕事を探すべきだ。
これが例えば、学校を卒業したばかりの若者だったら事情は変わって来る。学校を出たばかりで土木工事の経験が全く無く、収入も蓄えも、仕事をこなす実力も無いような人だったなら、「ただ穴を掘る」「ただ穴を埋める」という作業からでも、学べる事はある。体力作りにもなるだろうし、その上収入にもなるという事なら、無駄という事は全く無い。
経済政策というのが誰の為にあるのかというレベルから言えば、それは本来は、低所得者の生活水準をどうやって底上げするかという問題提起から始まってたはずなのね。だって金持ちは、ほっといたって金持ちなんだから。いつの時代も。で、現状についていえば、公共事業が低所得者の生活水準の向上に寄与するのか、といえば、これがなかなか微妙な問題で。建築工事にしても土木工事にしても、高度な技術が必要とされる事が増えすぎて、無職・無経験者が簡単に入っていける業種ではなくなっているように見える。
という事から考えると、「低所得者の生活水準の向上」という命題に対してもっとも直接的に効きそうなのは、職業訓練校のような場所の拡充、という話になって然るべきと思われる。何十万人ものニートやワーキングプアと言われる人を放置する一方で、むやみに公共事業を発注して、人手不足の現場が疲弊するにまかせているような現状は、改善する方策がありそうなものだ。