水伝批判、水伝批判批判関係のエントリーについて、なんだかこう、もにょる感じが残っていた。それは論じられている中身そのものについてではなく、それが大学の中の人から発せられるのを見かける、という事について。
１つは、「こんなアホな大卒者を排出してすみません」という大学の中の人からの反省の声が聞こえてこないことに関する不満。でもまぁこれは、ネット上で目立っていないだけで、そう考えている大学関係者はたくさんいるのかもしれないし、反省するとかしないとかいう次元の低い論争をしてもしょうがないので、これ以上は言わないことにする。
そしてもう１つ、こちらが本題なのだが、受験現場でしばしば語られるこういう話
一生懸命勉強して、名門大学に入って、一流企業に入ればきっと・・・
いまどき、こんなカビの生えそうな言説は、とっくに通用しない時代だよ、という人も多いだろう。一方では、いやいやそうは言っても、一流企業の幹部は名門大卒で占められているし、統計的に年収も高いし、年収が高ければ婚姻率も高く云々・・・と名門大学の有用性を説く人も多い。
大学が何によって支えられているかといえば、欠かせないのが大勢の学生である。学生の集まらない大学は存続できない。ではその学生・・・高校の受験生・・・が、何を目的に大学に進学するのか。純然たる学問なり研究なりを目的として入学する学生などというのは少数派だろう。小学、中学、高校において、学問や研究の崇高なる意義みたいなものは何も教えないのだから、それも当たり前だ。
そこでこれだ。
一生懸命勉強して、名門大学に入って、一流企業に入ればきっと・・・
統計的には、一流企業の幹部は名門大卒で占められている。統計的に年収も高い。統計的に婚姻率も高い。
統計的には、合理的な選択だということは否定しないのだが、では、
・名門大卒者の人事を、科学的な仮説で説明できるか？
・名門大卒者の年収を、科学的な仮説で説明できるか？
・名門大卒者の婚姻を、科学的な仮説で説明できるか？
・・・そんなの、無理。
要するに、この言説には科学的根拠が何も無い。科学的には、この話は水伝と同レベルのニセ科学、トンデモ科学である。統計的な正しさと、科学的な正しさは、レイヤーの違う話である。しかし、一方で、大学は、このニセ科学、トンデモ科学的な進学指導をまにうけて受験・進学する学生によって支えられている。
すなわち、大学は、水伝と同レベルのニセ科学、トンデモ科学に支えられているとも言える。
こういう状況が生じていることについて、大学の中でまじめに研究して論文を書いている人に何らかの責務があるのかといえば、まぁ、関係ないわな。問題なのは大学を取り巻く環境、すなわち馬鹿な愚民どもが勝手にニセ科学、トンデモ科学を振りまいて、大学を担ぎ上げているという状況。むしろ中の人にとってはいい迷惑なのかもしれない。・・・が。
その、担ぎ上げられた大学の中の人が、水伝をニセ科学・トンデモ科学だと批判することの滑稽さ。
おまえら、そんな事より、もっと先に批判すべき事があるんじゃないのか？
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よくわからないというブコメがあったので恥をしのんで追記しておきます。
↑で私が言いたかった問題提起は、まんまこれ
科学社会学 --- wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6
科学知識の社会への伝達・普及に関する研究、科学技術と社会（公衆）との間に生じるコンフリクトについての研究など、科学社会学が対象とする分野は随時拡大して来ている。
で、５０年以上まえから学問として研究されとるわいっちゅう話ですね。不勉強ですみません。
ちなみに、科学と偽科学について最近はてなで盛り上がってた議論はそのまんまこの科学社会学の範疇だそうです。
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追記２
大学って、おもしろいところだねぇ
博士号をとろうとしている人文系院生に告ぐ --- 猫を償うに猫をもってせよ
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20081129
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追記３
関係ないけど、タイムリーなこんな事件
無職の元東大生「教科書と違う現実が…」 文科省幹部を殺害予告 --- 産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081129/crm0811291717024-n1.htm
