まず、極端に単純化して考える。
次の3人だけが存在する小さな島があるとする。
・お米を3人分生産するAさん
・野菜を3人分生産するBさん
・お魚を3人分釣ってくるCさん
物々交換の時代なら、それぞれ余ったものを3人で分けあえば、3人それぞれがお米と野菜とお魚を1人分ずつ食べられる。
しかし、何らかの理由で物々交換ができなくなり、代わりにお金で売買することが義務付けられてしまったとしよう。
AさんもBさんもCさんも、最初からお金を持っているわけではない。お金が無いから、AさんはBさんやCさんの物を買うことができない。BさんやCさんもそれぞれ同じ。それぞれお互いの持ち物を欲しがっているのに、お金が無いせいで3すくみ状態になってしまう。
そこに、どこか遠い島から、お金を持った銀行員が1人、船でやってきた。
この状況を打開するために、Aさんがその銀行員からお金を借りた。仮に2000円借りてきたとしよう。それで、1000円でBさんから野菜を、残りの1000円でCさんから魚を買った。
Bさんは1000円の収入を得たので、Cさんから魚を買った。
CさんはAさんとBさんに魚を売って2000円の収入を得た。そのお金でAさんとBさんからお米と野菜を買った。
BさんはCさんから得たお金でAさんのお米を買った。
すると、ぐるっとお金が循環して、Aさんの所にまた2000円が戻ってきた。
それで、そのAさんはお米を売ったお金2000円を銀行に返した。
すると、銀行員がこういう。「あのー・・・利息分のお金は?」
そう、Aさんは元本を返しただけではダメで、金利を銀行に払わなくてはならないのだ。
さて、Aさんはどうやってその金利を稼げば良いのだろう?
この小さな島には3人しか居ない。お金を持っているのは銀行だけ。
どうしても金利を払えと言われたら、こうするしか無い。その金利分のお金を銀行からまた借りるのだ。
余分にお金を借りて、生産効率を上げてどんどん稼いで、金利まで返せばいいじゃないかって?
この島には3人しか居ないの。それで、他の2人は無一文なの。投資して生産効率を上げても、無駄なの。
でも、金利を払うために借金してしまったら、その借金の金利をまた借金で・・・という無限ループになってしまい、あとは所定の金利の倍率で増える一方になる。
Aさんの帳簿上の借金残高の数字だけが勝手に膨らみ続け、最後には天文学的数字になる。
Aさん「そんなの、銀行が勝手にマネーゲームのルールを決めて、俺に押し付けてるだけじゃん。払えないし、払う義理も無いよね」
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てなことが、規模をそのまま馬鹿でかくして、地球規模で起こることって無いのかね? たった3人の島の経済でさえおかしな事になるのに、その規模を拡大するだけで問題が消えてなくなるとは思えないのだが。
この問題の根本的な解決策は、金利をゼロ以下にすること。
・金利がゼロなら、お金がぐるっと回った後、Aさんは元本を返して、そこで全てが一度完結する。次はまた初期状態から始められる。ゼロ金利政策って、じつはすごく理にかなってる?
・金利がマイナスなら、Aさんは元本以下の金額しか銀行に返さなくて良い。従って、Aさんの手元には、僅かながらお金が残る。このループを何十回も繰り返せば、最終的には銀行抜きで、3人の島の経済は円滑に回るようになるだろう。・・・銀行が不要になる世の中は銀行が困るから、銀行は金利をマイナスにしない訳ね。
・よく考えると、そんな回りくどいことをしなくても、ツールとして適度な量のヘリコプターマネーが島にもたらされれば、金利に悩むこと無く島の経済は最初から円滑に回ってたんだよな。「適度な量のヘリコプターマネー」これ、けっこうキモなんじゃないかな。